沖縄の農業には持続可能性を損なうさまざまな課題が存在しています。その一つに、農家を支援する民間のステークホルダーが少ないことが挙げられます。全国的には経営面や販売面、情報提供、技術指導などで農家をサポートする企業や団体は増加傾向にありますが、沖縄はその数が限られています。その結果、農家は単独で経営や販路開拓、技術習得に取り組まざるを得ない状況にあります。こうした体制不足が、農家の事業拡大や効率的な経営の障害となっているのです。
農地の利用状況も大きな課題です。農地利用集積率の全国平均60%に対し、沖縄は26%と非常に低い水準にあります。(2024年6月農林水産省経営局「担い手への農地集積の状況」より)。農地を効率的に管理し、担い手に集約する農地中間管理機構が十分に機能せず、農地を借りたい農家は自ら人脈を駆使し、農地を探さなければならないことが多いのです。この仕組みの不備で、農家が経営の安定を図る第一歩である農地確保が難しい状況が続いています。
気候も沖縄の農業にとって厳しい要素です。台風の多発や低い晴天率で作物の成長が遅れがちで、収穫量を確保するために化学肥料の使用が増える傾向がありますが、これが環境に負担をかける懸念もあります。
さらに、人口増加や観光の影響で農業用水の水質が悪化し、作物の品質や収穫量に悪影響が出ているのも問題です。この水質問題は、沖縄の自然環境にも深刻な影響を与えています。
流通でも規格に合わない農産物が市場に出ず、廃棄されるケースが多い状況です。食品ロスは農家の大きな損失であり、効率的な流通が求められています。
こうした課題の解決には地域と企業の連携による支援体制の強化、農地の効率的な利用、環境に優しい農法の普及が不可欠です。沖縄農業の持続可能な発展には包括的な取り組みが求められています。次回は課題にアプローチするオープンイノベーションについて触れたいと思います。
(デジタルはるさー協同組合代表理事)
次回は廣瀬里子氏(ジャパンエンターテイメント広報)です。
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