日銀の内田眞一副総裁は7日午前、北海道・函館市で開かれた金融経済懇談会で講演し、「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べて、追加の利上げに慎重な姿勢を示した。

日銀が追加利上げを決定した7月の金融政策決定会合後の会見で、植田総裁は物価が見通し通りに推移していけば、「引き続き、政策金利を引き上げる」と述べていた。

内田副総裁の発言が伝わると、東京株式市場では安心感が広がり、それまで一時900円以上値下がりしていた日経平均株価が、一気に上昇に転じ、一時1100円以上の上げ幅となり乱高下した。

内田副総裁は講演後の会見で、不安定な金融市場の動きについて、7月に決定した追加利上げを念頭に「市場がより大きく下落し変動した要因の一つであると思っている」と述べ、「(市場の)不安定な状況がいつ解消するかわからない。利上げについて慎重に考えるべき要素が生じたと言わざるを得ない」と改めて追加の利上げに慎重姿勢を示した。

また報道陣から、植田総裁のさらなる利上げ発言との違いを指摘されると、「総裁の申し上げていることと大きく言えば変わらない。全く同じ論理の中で、不安定な状況のときに利上げをするということはない」と説明した。

一方で、アメリカが2022年に急激なペースで利上げを行った例をあげて「日本はもっとずっと緩いペースで(利上げを)考えている。(市場が)大きく反応するほどのことでは本当はない」として、市場が過剰反応しているとの認識をにじませる場面もあった。

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