大型バスの運転手不足が深刻な状況となっています。京福バスは6月から、福井市内を運行する路線バス9路線、計242便を減らすと発表しました。原因は慢性的な運転手不足。10月には更なる減便を検討していて、県民の生活への影響が懸念されています。これを受けて県は28日、緊急の会議を開き、市町の関係者やバス事業者と運転手確保について話し合いました。
  
京福バスは6月1日から、福井駅を起点に運行する福井市内の路線バスについて、9路線242便を減便します。
 
県民の一人からは、京福バスの減便について「車を手放したので不便さを噛みしめている。6月からますます不便になる。老人にとっては切実」との声が聞かれました。
   
現在、京福バスは嶺北7市町で約60路線を運行しており、減便は全体の15%に当たります。今回の減便で、運転士10人程度の業務削減につながるとしていますが、京福バスでは、適正人数よりも運転手が40人ほど不足しており、10月以降も更なる減便を検討しているということです。
 
運転手不足により路線バスを減便せざるを得ない現状を受けて、県は28日、福井市内で市町の関係者や事業者と人材確保について話し合う緊急の会議を開きました。
  
会議では、就職者数は増えているものの、それ以上に離職者の数が多いこと、4月からの労働条件・拘束時間の見直し、いわゆる“2024年問題”により、現在の運転手の数では便数の維持が難しいことなど、バス事業者の厳しい現状が報告されました。
 
事業者からは、人材確保のPRに対する支援や、人手が特に必要な朝夕のみの短時間勤務に対する採用の支援などを求める声が上がった他、給与水準の改善なども提案されたということです。
 
京福バスは「生活路線の維持は民間企業では難しいところがある。自治体にも地域の公共交通を守ることを一緒に考えてもらうようお願いした」とし、福井鉄道は「事業者として法令順守は必要なので、すぐにでも減便や路線の見直しをやらせてほしいとお願いした」と話していました。

また、福井鉄道も路線バスの減便や見直しを検討していることを明らかにしました。田原町からかれい崎まで運行する福浦線について、10月からの廃線を検討しているということです。
  
県は今後も、市町や事業者と連携して人材確保に務めるとして、6月9日にはバスの体験会と就職説明会を開きます。運転手の仕事に関心を持ってもらおうと、体験会では普通免許を持っていれば私有地内で大型バスの運転体験ができるということです。
 
県民の足となる路線バスを守るため、早急な対策が求められています。

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