国連安全保障理事会は24日、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる公開会合を開いた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアへの兵器提供が指摘されるイランと北朝鮮を「事実上の共犯者」だと批判し、グローバルサウス(新興・途上国)を含む国際社会に和平に向けた対露圧力を強めるよう訴えた。
ゼレンスキー氏は「ロシアは国際犯罪を犯している。だからこの戦争は話し合いでは終わらない。行動が必要だ」と強調した。3年目に入った戦争で支援を続ける国々に謝意を伝え、「団結してロシアを和平に追い込むしかない」と訴えた。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は会合冒頭、安保理理事国ではない欧州諸国が参加していることに難色を示し、「型にはまった説明を聞き、時間を無駄にするつもりはない」などと主張。ゼレンスキー氏の発言中はスマートフォンを触り続けた。
ウクライナを支える米国のブリンケン国務長官は中国に批判の矛先を向け、工作機械や半導体など防衛産業の基盤となる物資の輸出を通じ、ロシアを支援していると非難。「ここにいる私たちは皆、ロシアの侵略戦争を終わらせるため、公正で永続的な平和を求めるウクライナを支援する責任がある」と訴えた。
これに対し、中国の王毅外相は「中国はウクライナ危機を作り出していないし、当事者でもない。常に平和の側に立ってきた」と主張し、外交的解決を望むとして米国をけん制した。
輪番制の議長国を務めるスロベニアのゴロブ首相は「私たちはこの数十年で世界が経験した最も大規模な戦争に対して何もできず、ウクライナ国民に平和をもたらすことができない」と述べ、大国間の緊張が影を落とす安保理の機能不全への「いらだち」をこぼした。
訪米中のゼレンスキー氏は25日に国連総会の一般討論演説に臨む。26日にはワシントンでバイデン米大統領らと会談し、対露戦争の終結案「勝利計画」を提示するとされる。【ニューヨーク八田浩輔】
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