経済協力開発機構(OECD)は30日、日本の外国人労働者政策に関する初めての報告書を公表した。見直しが進む技能実習制度について、外国人労働者が来日前にブローカーに支払う手数料を課題に挙げつつ、受け入れ窓口となる監理団体など労働者と雇用主の支援は他国にない仕組みとして「維持すべき」だと評価した。高度人材や留学生の定着率は高いとした。
報告書は、OECDに国立社会保障・人口問題研究所が協力して作成。評価の対象とされたのは、韓国などに続き12カ国目となった。
技能実習については来日前、ブローカーに過剰な手数料を搾取されるケースが残っていると指摘。日本では原則として3年間、雇用主を変更する「転籍」を認めないが、欧州の多くの国は入国1年以内に認めているとし、自主的な転籍要件の緩和を求めた。
一方で、監理団体による労働者の研修や雇用主の監査、技能実習機構による監督指導の仕組みは他国になく、技能実習に代わる新制度の創設後も「維持すべき」だと評価。技能実習からの移行先となる在留資格「特定技能」については、両者の産業分野の範囲を一致させるべきだとした。
高度人材や留学生の定着率は、欧州などと比べて高い傾向にあるとも指摘。来日5年後の状況を調べると、専門家や技術者向けの在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の半数、留学生の3〜4割が日本に滞在していた。
ただ、技人国の職種の一覧は公表されておらず、技能水準も不明確と指摘。透明性を高め、海外にいる高度人材が日本で仕事を探すためのシステム開発を検討すべきだとも提案した。【奥山はるな】
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