米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(29)の元通訳、水原一平容疑者(39)が違法賭博で球団から解雇されてから、20日で1カ月を迎える。米司法省から銀行詐欺容疑で訴追された水原容疑者を巡っては送金の手口も判明し、大谷が「被害者」であったことが鮮明になった。大谷の事実上のマネジャーを務めていた水原容疑者は今後、違法賭博によってスポーツ界から永久追放される公算が大きくなっている。一方で、事件は大谷の金銭管理を含めたサポート態勢の不備もあぶり出した。一部の米メディアは、大谷を取り巻くサポート態勢の再編の動きを報じている。
「究極の力を与えられていた」
3月20、21日に韓国・ソウルで行われたパドレスとの開幕シリーズの最中に発覚した違法賭博問題は、異例のスピードで捜査が進んだ。4月11日には司法省が水原容疑者の訴追を発表。司法省の発表では、違法賭博の借金返済のために大谷の口座から胴元側に1600万ドル(約24億5千万円)以上を不正に送金していたことや、銀行の従業員と話す際には大谷と偽って多額の電信送金を承認するように説得していたことなど、衝撃的な事実が次々と明るみになった。
米大リーグ機構(MLB)も「大谷選手は詐欺の被害者とみなされ、違法なブックメーカー(賭け屋)での賭けを許可した証拠はない」などとする声明を発表。大谷が「被害者」であることを強調した。
水原容疑者が訴追されたことで、捜査上は節目を迎えた一方、今回の問題で表面化したのは、金銭管理を含めたサポート態勢の不備だ。米サイト「スポーツビジネス・ジャーナル」(電子版)は、大谷の代理人事務所「CAA」が今回の違法賭博問題を受け「大谷の側近たちの再編を検討している」とする記事を掲載した。
記事では「(CAAが)予想できなかったのは、組織全体がたった一人の人間によって、いかに簡単に危険にさらされるかということだった」とした上で、水原氏が「究極の力を与えられていた」と指摘。CAAが大谷に対し、財務マネジャーや会計士などの包括的なサポート態勢を約束したと報じている。
SNSは昨年12月から更新なし
事件が明るみになったことで〝チーム大谷〟に再編の動きが出る一方、訴追された水原容疑者には今後、厳しい現実が待ち受けている。
水原容疑者は司法省からの訴追後、12日にロサンゼルスの連邦地裁に出廷。大谷との接触禁止やカリフォルニア州中部地区を出ないことなどを条件に保釈が認められた。この日は問題発覚後初めて公の場に現れた水原容疑者だったが、報道陣の前で言葉を発することはなかった。来月9日には連邦地裁で罪状認否が行われる予定だ。有罪が認定された場合、最大で30年の禁固刑が科される可能性がある。
米USAトゥデー(電子版)は「大谷の〝罪〟は、友人の趣味が悪いことと、金銭感覚が甘いことにあった」とし、「水原氏は、スポーツ界から永久追放される可能性がある」と指摘した。
一方、水原容疑者のインスタグラムは昨年12月14日を最後に更新されていない。違法賭博問題が発覚後、コメントには激励の声がある一方で、批判的な内容も目立っている。
今後予定されている法廷を巡り、水原容疑者が自らの言葉でどのような説明を行うのかも注目される。(浅野英介)
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