全国的に人手不足が叫ばれる中、外国人材を求める動きが活発になっている。厚生労働省のまとめによると、2023年10月末時点で日本で働く外国人労働者は204万8675人と、これまでで最も多くなった。

 外国人労働者の数は秋田県内でも年々増加していて、2023年10月末には3161人と、全国と同様、過去最多となった。

 一方、東北6県をみてみると秋田が最も少なく、受け入れが進んでいないのが現状だ。秋田労働局は、受け入れるにあたっての費用のほか、指導役を担う職員の負担が懸念されるため、外国人労働者の雇用に踏み切れない企業が多いのではないかと分析している。

 こうした中、外国人を積極的に受け入れようと企業同士の連携が進んでいる。

 2022年3月に設立された「秋田外国人材協同組合」。自動車整備や病院、観光業など8つの企業が加盟している。県内企業がスムーズに外国人労働者を雇用できるよう仲介に入り、2024年度はベトナムから6人の受け入れを実現させた。また、会社だけでは負担が大きい外国人労働者の語学教育や生活をサポートしている。

 実際に受け入れる企業にはどんなメリットがあるのか。そして、秋田にやってきた外国人労働者はどんな生活をしながら働いているのだろうか。

 秋田市に本社を置く建設会社「加藤建設」。民間施設の建設や公共工事などさまざまな事業を請け負っているが、現場では人手不足や作業員の高齢化が深刻化している。

 同時に、加藤俊介社長は急速に進む人口減少に強い危機感を抱いてきた。

 加藤建設・加藤俊介社長:
「人口問題をどのように解決するかとなれば、人を外国から入れるしかないというのが私の持論。そう言っている自分が何もしないのは良くないだろうと思い、自分の会社で経験として外国人労働者を受け入れてみようと考えた」

 こうした思いから加藤建設では、秋田外国人材協同組合のサポートを受け、ベトナムから2人の若者を受け入れた。チュ・ミン・ニャットさん(19)と、2人の子どもを持つチャン・ヴァン・クオンさん(33)だ。

 2人は、母国で習得できない技能を日本の企業で働きながら学ぶ「技能実習生」として秋田にやってきた。

 現在は秋田市内のアパートで、県内のほかの企業に採用されたベトナム人技能実習生と共同生活を送っている。

 実習生たちは、国際教養大学の学生から、毎日のように日本語や日本で生活するうえで必要なマナーなどを教わっている。

 この日はバスに乗って市内のショッピングモールに買い物に行くことになった。出かける前に、バスを利用する際に便利なアプリの使い方を学んだ。

 自分のスマートフォンを実際に操作しながら、先生の話に真剣に耳を傾ける。

 先生:
「バスに乗る時、Suicaどうしますか?」

 チュ・ミン・ニャットさん:
「ピッ!」

 乗車する時のイメージトレーニングは完璧のようだ。

 秋田の生活になじんできた2人は、5月7日から土木工事の現場で本格的に仕事をスタートさせる。

 チャン・ヴァン・クオンさん:
「秋田の生活は楽しいです。一生懸命勉強して、指導に従い全力を尽くします」

 チュ・ミン・ニャットさん:
「親のためにお金を稼ぎたいから日本に来た。日本語は難しいですが、頑張ります」

 加藤建設では、彼らが働きやすく快適に生活できる環境を整えたいと考えている。

 加藤建設・加藤俊介社長:
「色々な意味で秋田は非常に不利。遠いし寒いし。でも『秋田だったらいいよね』と思う環境をつくってあげられる可能性がある。われわれの仲間として一緒に暮らしていけるかどうかが重要。そういう環境づくりができれば一番良いと考えている」

 県が外国人労働者の受け入れに関する企業の相談にワンストップで対応する相談センターの設置を決めるなど、外国人材の雇用に向けての基盤が県内でも築かれつつある。

 私たち一人一人が、外国人材を共に暮らす仲間として迎え入れる気持ちも重要となりそうだ。

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