福島県福島市は、ルールを守らないゴミ出しが後を絶たないとして、新たな条例の制定を目指している。悪質な違反ゴミについては「開封調査」を行い、改善されない場合は氏名や事業者名を公表する方針だ。

<福島市の開封調査とは>
ゴミを調べて個人や事業者の特定につなげる「開封調査」。
調査に至るまでの想定される手順は、まず違反ゴミを見つけた場合「違反シール」を貼り、ルールを守るように呼びかける。それでも1週間程度放置されたゴミが開封調査の対象となり、市の職員が他人の目に触れない閉鎖された施設で行う。
この調査で、ゴミを出した人が特定できたら、市の職員が直接指導し改善を求める。それでも応じない場合は、文書で改善勧告。最終的に氏名や事業者名などを市のホームページで一定期間公表するという流れだ。

<後を絶たない違反ゴミ>
この条例の改正案では、分別されていない家庭ゴミや本来出すことが出来ない事業系の不法投棄を対象に「開封調査」を導入。改善勧告に従わない場合は、氏名や事業者名を公表することも盛り込まれている。
背景には、後を絶たない「違反ゴミ」がある。街なかには、収集できないことを告げる紙が貼られ放置されたゴミを見かけることも。本来捨てられない事業系の違反ゴミもあり、中には半年以上そのままになっているとみられるものもあった。
福島市によると、2023年度確認された「違反ゴミ」は、約9000件に上っているという。

<理解・反発 市民の声>
そうしたなか、改善に向けて福島市が制定を目指す新たな条例案に市民からは「強制的・罰則的に中身を開封して確認するとなると、やはり反発は招くのでは」と言う声や「今までがちょっと甘すぎた。これからは、ちゃんとしないとダメだろうな」という声も聞かれた。

<専門家 ゴミがゴミを呼ぶ>
廃棄物に関する経済学を専門とする福島大学の沼田大輔教授は「制度が追い付いていないから、その分、福島はゴミが出しやすくなっているところもある。ゴミがゴミを呼ぶ感じに。福島に来ると簡単に出せるとなってしまっているところがある」と話し、制度の整備の遅れが、ゴミの量が多くなるひとつの要因になっていると指摘する。
続けて、沼田教授は「開封調査されるかもしれないという気持ちが、分別を促す。ちゃんと分別している人がバカを見ないというか、そういう形の第一歩になると思う」と話した。

新しい条例案は、議会で承認されれば2025年3月から施行される予定だ。

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