道内の畑や湖などで、羽を休める渡り鳥。南の暖かい地域で越冬するため、今、北海道を多くの鳥が経由しています。そんな中…
11月1日、オホーツク地方の清里町で国の特別天然記念物、タンチョウが死んでいるのが見つかりました。
国の検査で致死率が高い「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。
北海道内での野鳥の鳥インフルエンザへの感染は今シーズン既に13例。北海道によりますと、過去2シーズンより1週間から2週間ほど早いペースです。
家畜のニワトリへの影響が心配されていましたが…旭川市の養鶏場で11月11日、採卵用のニワトリ数十羽が死んでいるのが見つかり、12日未明、高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されました。
■迅速に開始された防疫措置
「大型のバスから白い防護服を着た多くの道の職員らが降りてきます」(岩間徹カメラマン)
北海道と旭川市は12日未明から60人ほどの態勢で養鶏場のニワトリ、およそ4万4千羽の殺処分を始めました。
午後2時の時点で、およそ2万5千羽を処分していて、あすまでに作業を終える予定です。
「発生農場を中心とした迅速な防疫措置に全力を挙げこれ以上の蔓延を防止するために万全の態勢を整えるようお願いします」(鈴木直道知事)
鈴木知事は11日夜の対策会議で被害を最小限にとどめるため速やかな措置を指示しました。
■鈴木知事は「直ちに卵価格に影響する事はない」
安定した価格から物価の優等生と言われる卵。
旭川市の養鶏場での鳥インフルエンザ発生で、影響はないのでしょうか。
「今回の防疫措置で直ちに卵の流通や価格に影響を与えるものではありません」(鈴木知事)
鈴木知事は「影響なし」と太鼓判。その理由は…
■思い出される2023年のエッグショック
「あら、やっぱりないんだわ」
「10分で売り切れてました」(ディレクター)
「いや~早く来たのに」(いずれも札幌市民)
2023年4月、札幌ではスーパーマーケットの卵が高騰し、品切れが相次ぐ「エッグショック」が…。
きっかけは鳥インフルエンザでした。
2023年3月、千歳市の養鶏場のニワトリが鳥インフルエンザに感染。
北海道内の卵の主産地である千歳市で、その後も、感染が相次ぎ、市内の採卵用のニワトリの9割に当たる約120万羽を殺処分。
胆振地方のの厚真町などと合わせると、北海道内で殺処分されたニワトリは、北海道全体の3割にあたる151万羽に上りました。
卵の生産量がおち、卵の価格は高騰。
2023年4月から7月にかけて札幌市では1キログラムあたり360円を超えました。
2024年も関西の猛暑で卵の生産量が減少し夏場を過ぎ9月から、価格が上がってきています。
■いまのところ影響は少ないが…感染状況を注視
ただ、鈴木知事は今回の感染事例は「影響なし」と強調。北海道職員にこんな指示を出しました。
「根拠のないうわさで混乱しないように、あらためて道民の皆様に対する周知を徹底していただくようお願いします」(鈴木知事)
鈴木知事がこう明言したのには理由があります。
北海道内の採卵用のニワトリは、約520万羽。今回、殺処分されたニワトリは4万4000羽と1%にも届きません。
エッグショックの時は29%と、過去最大の被害だったのです。
専門家は、今後、感染が広がると卵の販売数に影響がでると指摘しています。
「卵は年末のおせちやクリスマス需要で値段が上がる」
「(鳥インフルの)感染が広がってしまうと(卵の)供給が少なくなってしまう可能性は十分にある」(いずれも酪農学園大学 日向貴久教授)
食卓にはかかせない卵。価格が急に上がることはなさそうですが、今後の鳥インフルの感染状況は注意深く見ていく必要がありそうです。
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