民間組織「人口戦略会議」は、「消滅可能性」があると分析した744の自治体名を公表。福島県は33の市町村が消滅可能性自治体とされた。過疎化が進む地域は、差し迫った問題として存続に向けた取り組みを進めている。

<人口減少率 全国ワースト6位>
人口減少の対策はまったなしの状況だが、福島県の推計人口は2023年10月時点で176万人。これは前年の同時期と比べて2万3000人少なくなり、減少率は全国でワースト6位となっている。
福島県の人口の推移を見ると、ピークは1997年の213万人。そこから減少が続き2050年には約125万人になるとの推計もある。(※国立社会保障・人口問題研究所)

<存続に向け 住民が立ち上がる>
福島県会津若松市の湊町。地区の人口は、最も多かった1955年の4632人と比べて3分の1以下の1479人。およそ半数が高齢者で、過疎・高齢化が進んでいる。
「この集落だけで人口は15人ほど。ほとんどが単身世帯で、高齢者がお亡くなりになったら空き家に。新規の方は今のところ来る予定はないので、限界集落に近い集落」と話すのは、この地区で生まれ育った坂内美智男さん。このままだと湊地区のコミュニティーが無くなってしまうと心配している。
そこで、地域の活性化や課題の解決に取り組むNPO法人「みんなと湊まちづくりネットワーク」を設立。
利用者の要望に応じて運行するデマンドバスを走らせて暮らしやすい環境を整え、婚活事業なども手掛けてきた。前身の協議会から数えると、その取り組みは9年間に及ぶ。
坂内さんは「いろいろな事業でいろいろな人を呼んで交流していく中で、湊いいな、素晴らしいなというのを実感していただくためにも一生懸命やっていく」と話し、地域の活性化が移住者を呼び込むことにもつながればと期待している。

<女性・関わる人がカギ>
福島県内の自治体や集落が存続するために、福島大学行政政策学類の岩崎由美子教授は「女性」そして「地域に様々な形で関わる人」がカギを握ると指摘する。
過疎地域などを研究する岩崎由美子教授は「過去10年間の、福島県の女性の流出数を見ると日本でワースト1」と話し、県外に転出する女性が多い現状を指摘した上で、その地域で暮らし続けることを、どうサポートできるかが重要だという。
「安心して働いて、出産も子育てもできるという暮らし方が、地方では進んでいない。社会保障などを整備していくということもとても重要な課題」と話す。
また過疎化が進む地域については「集落だけで何かを始めるというのは難しい。そこで関係人口の力を借りるとか、みんなで作っていくそういう場を作るという事が行政には求められているのではないか。これから色々な手を打っていくことで、次世代が育っていくような福島県になる可能性は非常にあるのではないか」と話す。

岩崎教授によると、高齢化率が40%を超える徳島県美波町では「賑やかな過疎町」としてITの力を使い企業誘致や若い人を集めているという。
人口減少の特効薬はないが「どうスピードを落とすか」も重要と話していた。

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