洋上風力発電の作業員を育成する訓練センターが秋田県男鹿市の高校に開設され、報道機関に訓練が公開された。今後、秋田県沖での洋上風力発電の稼働に向け活躍が期待される。
男鹿市の男鹿海洋高校に開設されたのは、総合訓練センター「風と海の学校 あきた」。海運大手の日本郵船と実習船の運航などを手掛ける日本海洋事業が、洋上風力発電の作業員を秋田で育成しようと4月に立ち上げた。
24日は、北海道に本社を置く海運会社の作業員3人が、船の操縦などを学ぶために受講していた。
洋上風力発電が稼働すると、CTVと呼ばれるメンテナンス技術者を洋上風車まで運ぶ輸送船が必要になる。そのため、訓練センターには「操船シミュレーター」が設置されている。
24日は、秋田港を再現した映像がモニターに表示され、本番さながらの臨場感で関係者が操縦を体験した。
日本郵船 グリーンビジネスグループの川上哲治さんは「洋上風力事業と船の世界を生徒たちに身近に感じてもらえる。生徒たちには、将来を一緒に考えてもらう一つのきっかけとして、在学中に将来のことを真剣に考えることができるような施設になれば、みんなに恩恵がある」と高校に開設した意義を強調した。
また、高校にある水深10メートルの潜水プールを活用した設備も整備された。日本郵船などが、海中に転落した場合を想定した訓練ができるよう整備している。
なぜ今、メンテナンス技術者の訓練センターが必要なのだろうか。
県内の洋上風力発電は、秋田港と能代港の港湾区域で洋上風車33基が運転し始めたほか、4つの海域で事業が計画され、稼働する風車は計180基を超えると見込まれている。
今後5~10年の間に次々と動き出すため、技術者に加え、輸送船の活躍の場が広がる。
日本郵船 グリーンビジネスグループ・川上哲治さん:
「秋田県男鹿市で人材育成や船員の育成など幅広く海事産業、洋上風力も含めて波及効果が出ていけばいいと思うし、周りの人たちと相乗効果を高めながらやっていくことで、日本全体の利益になると考えている」
訓練センターは、年間で数百人の育成を見込み、洋上風力発電が本格稼働する2030年には1000人以上を目指すとしている。
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