(ブルームバーグ):27日に投開票が行われた自民党総裁選で新総裁に選出された石破茂氏に対し、国内の経済団体のトップからはさっそく期待や要望の声が寄せられた。
経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は総裁選後に公表した声明で、国内外に多くの課題がある時代に「変革を推し進めるに相応しいリーダー」と評価。原子力を最大限活用するエネルギー政策の推進や、将来の不安を払しょくする公正・公平で持続可能な全世代型社会保障制度の構築などに期待を示した。
日本商工会議所の小林健会頭(三菱商事相談役)は石破氏には安定的な政権運営を期待したいとし、30年以上続いたデフレ経済からの完全脱却と成長型経済への転換に向け、不退転の決意で臨んでもらいたいと書面などで明らかにした。
小林氏は地域や民間の潜在力をさらに引き出す強力な成長戦略に期待を寄せつつ、安定的で安価なエネルギー供給が不可欠とも強調。最低賃金を上げる石破氏の意気込みには理解を示しつつも、地方の支払い能力も踏まえて「壊れるところがないように」配慮してもらいたいと述べた。外交面でも力強いリーダーシップを発揮してほしいとした。
経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)はインフレへの移行を踏まえた経済・財政政策のほか、現代社会にふさわしい労働市場や社会保障制度の改革、地政学リスクの高まりに備えた経済安全保障、デジタル化の進展を見据えたエネルギーの安定供給などを重要課題として挙げた。石破氏が詳しいとされる防衛分野も含めてこれまでの財政支出の効果を厳しく検証することなども求めた。
一方、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は来年に予定される大阪万博に向けた支援を要望。原子力を安定的かつ最大限に活用することを含め、カーボンニュートラルと経済成長を同時に実現するための政策を展開してもらいたいとした。
個別企業ではキヤノンの御手洗冨士夫会長が、石破氏を中心に「挙国一致内閣」を立ち上げ、内政、外交の両面で国益を守る政策を実行してもらいたいなどとするコメントを出した。
(経団連など他の団体トップのコメントを追加して更新しました)
--取材協力:古川有希.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2024 Bloomberg L.P.
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。