農業現場の人手不足の解消に一役買いそうだ。秋田県由利本荘市で、人工知能(AI)を使ったタマネギの選別作業が行われた。AIの導入で、作業に必要な人数を半減できたという。

出荷するタマネギを選別するデモンストレーションで、黒ずんだタマネギがレーンを流れてくると、自動的に板が下がり「出荷できないもの」に分類された。この作業を担当したのはAIだ。

東北を新たな国産タマネギの産地にしようという実証の一環で、山梨大学などが開発している「AI自動選果機」が使われた。AIにあらかじめ4万枚の正常なタマネギの画像を学習させる。この学習データを基に「正常でないもの」を分類する。

パソコンの画面で確認すると、正常なタマネギには緑色の枠、出荷できないタマネギには赤い枠が瞬時に表示され、出荷できないとAIが判定したタマネギは排除される。

市内の農業法人は、通常4人でタマネギを選別するが、AIを用いた上で2人に減らして実証した。その結果、正常なタマネギの割合はどちらも同じだった。

山梨大学の牧野浩二さんは「AIが人の代わりをしているということが分かったということ」と話す。

選別には経験豊富なスタッフが必要なため、人口減少や高齢化が進む中で農業を未来につなげる一手となるかもしれない。

 折林ファーム・三浦徳也さん:
「AIの選別能力は、その時に流れるタマネギの質にも左右される。もっとデータ量を増やしながら、タマネギの質の良し悪しに対応できるぐらい一緒に積み上げていきたい」

 秋田県タマネギ産地形成コンソーシアム・涌井徹さん:
「人材がいないことを前提に仕組みを作らなければいけない。ようやくそれが始まったということだろう」

実証の成果は2024年中に報告される予定となっている。

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