(ブルームバーグ):今週末に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は今後数カ月間の優先課題として2つを挙げた。景気浮揚に加え、過去数年で何が間違っていたのかの検証だ。

23日に行われたFRB議長の講演は、労働市場の冷え込みに対する懸念が中心だった。

しかし議長は同時に、今年行われる正式なFRBの戦略検証がどのようになるのかについても考えを明らかにした。FRBは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)当時、インフレ率の急上昇に不意を突かれ、物価状況に追いつくために急激な利上げを余儀なくされた。今回の検証はそれ以来のものになる。

議長は「今年このプロセスを開始するにあたり、われわれの枠組みの長所を維持しつつ、批判や新しいアイデアにも耳を傾けるつもりだ」と述べた。

「パンデミックの際に明らかになったわれわれの知識の限界から、過去から教訓を得、それを現在の課題に柔軟に適用することに焦点を当てた謙虚さと問いかけの精神が必要になった」と続けた。

フェデラルファンド金利と米PCE価格指数(前年比)

FRBが政策の枠組みを最後に見直してからの4年間で、100年に1度のパンデミックや歴史的な巨額財政出動、複数の地政学的危機を目の当たりにした。

著名なエコノミストや元FRB当局者、共和党議員の一部は、パンデミック直後に物価が高騰し始める直前に発表されたこの戦略を批判している。インフレ率が目標の2%を下回って推移するという単一のシナリオに焦点を絞り過ぎたため、戦略がすぐに時代遅れになったと批判されている。

パウエル議長自身も、2022年に利上げを開始するのが遅かったのは、金融政策当局者がインフレの持続性を見誤ったからだと認めている。それ以来の議論の大部分は、2020年の枠組み変更が出遅れた責任の一端を負うべきかどうかを巡るものだ。

以前FRBでシニアアドバイザーを務め、現在はデューク大学の教授であるエレン・ミード氏は「世界が変わったことを理解するのに時間がかかった。絶対に過去にさかのぼって検証する必要性がある」と話した。

パウエルFRB議長

原題:Powell Nods to Upcoming Strategy Review as Fed Prepares to Ease(抜粋)

--取材協力:Mark Schroers.

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