(ブルームバーグ): 米株式市場では大型ハイテク株ではない一角が頭角を現している。近い将来に政策金利が引き下げられるとの期待が、現実味を増していることが背景。強気相場の復活に期待が広がっている。

  S&P500種株価指数の全構成銘柄の比率が均等になるよう割り当てられたS&P500均等ウエート指数(EWI)は、時価総額加重型のS&P500種指数と比較したこの2週間のパフォーマンスが、2020年11月以来の好調となった。何カ月もS&P500を下回ってきたEWIに起きた留意すべき変化だ。同時に金融緩和への楽観が、安全とみなされる大型ハイテク株から投資家を遠ざけている。

  ストラテガスのETFストラテジスト、トッド・ソーン氏は「ベンチで控えていた銘柄にようやく活躍の場が回ってきた」と語る。「エヌビディアからマイクロソフトに至るまで、成績優秀の選手が皆伸び悩んでいる間、チームのベンチ要員は割安株として持ちこたえている。最も見落とされていたグループが追いつき始めている」と述べた。

S&P500種EWIからS&P500種株価指数を引いた差(%ポイント、週間ベース)出所:ブルームバーグ

  ここ数週間のS&P500種とナスダック100指数が4月以来の低調だったため、株価が大きく変動したグループのパフォーマンスが今後も続くのか、実際の利下げ時にはどう株価が動くのかという疑問が投資家の間で生じている。

  過去の例をみる限り、利下げは株式市場の強いリターンをもたらしてきた。ただそれに当てはまるのは、今回のようにリセッション(景気後退)に起因しない利下げだけだ。緩和サイクルでは公益事業や生活必需品、医療ケアと行った金利敏感株が上昇する傾向にある。

  今年前半にS&P500種が過去最高値の更新を繰り返す中で、テクノロジー大手以外ではほんの一握りしか上昇の波に乗れていないことに、ウォール街では懸念の声が強まっていた。

S&P500種均等ウエート指数(EWI)出所:ブルームバーグ

  著名な株式ストラテジストのジム・ポールセン氏は、ハイテクではない銘柄が次の強気相場を支えていくとみている。同氏は今月に非ハイテク株が持ち直すと予想し、的中させた。

  「バブルだと多くが認識していながら、大規模な売り浴びせを引き起こさずにそのバブルがしぼんでしまうのは、過去にほとんど例がない」とポールセン氏。「そこで重要な問題は、大型ハイテク株の下落が大量の売りを広げることなく、取引の一局集中をやや緩和させることが可能かどうかだ」と述べた。

原題:S&P 500’s Next Leg Up Hinges on Battered Stocks Getting Revenge(抜粋)

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