6月の会見で村井知事が打ち出した宮城県沖での真珠の養殖構想についてです。真珠の産地といえば三重県などが有名ですが、宮城での真珠養殖の可能性、専門家はどう見ているのか取材しました。

記者リポート
「こちら青葉区の仙台三越です。こちらのお店にありました。パールネックレスがきらびやかに並んでいます」

光輝く真珠、パールのネックレス。日本は従来から質の高い真珠を数多く産出していて、去年の真珠の輸出額は456億円。ここ10年で最も高くなりました。真珠の国内での3大生産地は長崎県、愛媛県、三重県ですが…もしかしたらここ宮城県でも真珠の生産が始まるかもしれません。きっかけとなったのは、この発言でした。

宮城県 村井知事
「宮城県の近くでイセエビが捕れるんです。つまり、かつての三重県の海水温に近づいてきているということですよね。例えば宮城で真珠の養殖といったようなことも5年後10年後を考えて、もうチャレンジしていくべきではないのかということを指示をいたしました」

定例会見での村井知事の発言。海水温が上昇しホヤなどが死滅していることについて問われた際の回答でした。実際、県内の今年のホヤの水揚げ量は海水温上昇の影響などで、6月末までで約805トン、去年の35パーセント程度に留まっています。

水産業の継続に向けた選択肢として提起された真珠の養殖構想。40年にわたって、真珠の品質などを研究してきた専門家は。

三重大学 古丸明 特任教授
「新たな環境における養殖というのを考えていかないといけないという点では、評価に値すると私は思います」

三重県を含む三大産地では主に養殖のアコヤガイで真珠を生産しています。しかし、今、三重では海水温の上昇などからアコヤガイの死滅が増えている課題に直面。品種改良などで対応していますが、専門家はこうした現状に危機感を募らせます。

三重大学 古丸明 特任教授
「今後漁業をどう生き残らせていくのかということを必死になって考えないといけない。これは漁業者さんだけでもできないことでしょうし、行政なり自治体というか国というか、総合的な枠組みの中で考えていった方がいい。それだけ非常に厳しい岐路に立たされてると」

実際、宮城県での養殖に向けては技術的な問題に加えて、養殖に適した海域があるかどうかなど課題は多くあるといいます。しかし、古丸特任教授は「実現の可能性はある」として、水産業の継続・発展のため、広い視野で検討を進めてほしいと話します。

三重大学 古丸明 特任教授
「ホヤよりはアコヤガイはあたたかい温度には強いと思いますので、可能性はあるのかなと思います。戦略的に言えばアコヤガイも対象の1つというぐらいに考えて、いろんな貝種の養殖を視野に置いておいた方がいいかなと思います」

県は今後、関係者に話を聞く他、三重県への視察などを行い検討を進めるとしています。

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