ロボットを力士に見立て、土俵上で戦わせる競技に部活動として取り組む高校生たちがいます。全国から代表が集まる決勝大会は大相撲と同じ両国国技館で行なわれます。その予選に、宮城県の高校生たちが挑みました。

「お互いに礼!」礼に始まり…「はっけよ~い、のこった!」ロボット力士がぶつかり合う!
迫力のガチンコ相撲。そんな競技に青春を捧げる高校生が県内にもいます。
黒川高校ロボット研究部。1年生4人、3年生3人の合わせて7人が両国国技館につながる地区予選を控え、作業を進めていました。黒川高校では設計から組み立てまで部員たちが行っていて、1台あたりの製作費は約30万円。高い専門知識が要求されるロボットの世界。さぞ、機械マニアが集まっているに違いない!と、話を聞いてみると…

砥谷光さん(3年)中学校ではバスケットボール部
「元々機械に興味があったわけじゃなくて、先輩方が勧誘ですごい優しくてそれに惹かれた」
佐藤勇人さん(3年)※中学校ではバドミントン部
「高校のオープンキャンパスに来た時にロボット研究部って聞いて、どんな部活なんだろうと気になって行ってみたりして。かっけぇと思って」

そして、この部活をまとめるのが部長の森田瑞輝さん。森田さんは去年、地区予選を勝ち抜き、両国国技館で行われた決勝大会に出場。今年は予選を1位で通過し一回戦で敗退した去年の雪辱を果たしたいと意気込んでいます。

森田瑞輝さん(3年)※中学校では卓球部
「練習も重ねているので、去年よりいい結果、優勝を目指したいなと思っています」

地区予選は1週間後。3年生3人にとっては集大成の大会…最終調整を進めます。
そして迎えた、大会当日。

村上誠先生(顧問)
「しっかり動作チェックをしてもらって細かい部分、ネジのところとかだよね、最後、手で触ってもらって確認をしっかりして試合に臨んでほしいと思います」

ロボットを手にいざ会場入りです。黒川高校が出場するカテゴリーには宮城・山形・福島から10台がエントリー。上位2台に決勝大会行きの切符が渡されます。
最大のライバルはこの部門で3連覇している強豪、山形県の羽黒高校。3年生で一番早く出番が回ってきた佐藤さんの初戦の相手はその羽黒高校です。先に2勝した方が勝ちの3本勝負。
佐藤さん、まずは1勝です。2本目は操作ミスで取り返されてしまいますが…3本目は冷静に相手の動きを見極め見事、勝利!

佐藤勇人さん(3年)
「いや~とてもうれしかったですね、勝ったことない相手だったので。とってもうれしいですね」

これで勢いに乗った黒川高校。部長の森田さん、そして3年生の砥谷さんも危なげない試合運びで見事、予選を通過。しかし、初戦金星を上げた佐藤さんは2戦目で足元をすくわれ、まさかの予選敗退となってしまいました。

佐藤勇人さん(3年)
「自分の操作ミスです。操作ミスで負けたので、それがなかったら勝ってたかもしれないので、とっても悔しいです」

思い通りにいかないこともまた勝負の世界の理です。決勝トーナメントは初戦で砥谷さん、2戦目に部長の森田さんが登場。勝った時点で両国行きが決まる戦い。多くのギャラリーが戦いを見守る中、まずは砥谷さん。相手の操作ミスもあり、2本連取で勝利!見事“両国行き”を決めました。
そして、次はいよいよ部長の森田さんの出番。会場には森田さんの家族も応援に。

森田さんの母親・ひなこさん
「ものすごく緊張するタイプなので(去年の全国大会では)行ってから体調崩しちゃって、それで力を発揮できなかったというので、悔しくて悔しくて、もうずっとそれが心に残っていたのが、この戦いで頑張れる力になっているのかな」

相手はあの羽黒高校。
まずは1本を先取。落ち着いた立ち上がりを見せます。
しかし、ここで森田さんに焦りが出たか…操作ミスで自ら場外へ。
1対1、勝負は最終決戦にもつれ込みます。互いの意地と意地がぶつかり合う真剣勝負。指先に3年間の思いを込めます。しかし、素早い動きで横を突かれ、万事休す。落胆する森田さんのもとに予選で敗退した佐藤さんが駆け寄りました。

森田瑞輝さん「勝てたのに…」
佐藤勇人さん「3位でもいいことだよ」

決勝に進出した砥谷さんは勢いそのままに見事優勝。2人の雪辱を果たしました。

砥谷光さん
「2人の分も頑張って大会に臨みたいと思います」

仲間たちと共に高みを目指す真剣勝負。ロボットにかけた青春がそこにありました。
両国国技館での決勝大会は、12月7日8日に行なわれます。

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