安定した水産資源の出荷を実現しようと海の町・石巻で、陸上で魚を養殖する取り組みが行われています。養殖の対象は東北ではあまりなじみがないあの高級魚です。

石巻市渡波のホテル「サンファンヴィレッジ」。敷地内の一画で進められているのは…

一般社団法人「おしかの学校」高橋郁理事
「このすぐ下が万石浦に入る海になります。で、こちらの中でフグを約2千匹くらい養殖してます」

主に西日本で親しまれる高級魚、トラフグ。ここで県内唯一となるトラフグの陸上養殖が行われていて、4カ月から2年の個体を稚魚から育てています。

一般社団法人「おしかの学校」高橋郁理事
「ここにある赤いパイプと青いパイプの冷たい水、温かい水を混合させる仕組みになっていて…」

運営を担う一般社団法人「おしかの学校」の高橋郁理事です。トラフグの養殖は特に水温の管理が難しいといいます。

一般社団法人「おしかの学校」高橋郁理事
「人の手に乗せただけでやけどするんですよ、フグって。ですからちょっとした温度の差ですぐ体調を崩すのがフグの(養殖の)難しさですね」

難度が高いトラフグの陸上養殖への挑戦。運用のノウハウを獲得し、今後、養殖する魚種を広げて、市の安定的な水産資源出荷につなげようという狙いです。すでにギンザケの養殖も始まっています。

一般社団法人「おしかの学校」高橋郁理事
「どうも海水温が近年だいぶ上がってきていて、うまく漁獲量を確保できない。我々の陸上養殖技術で地元の皆さんにお役に立てることがあればお手伝いさせてもらえればなと」

トラフグを石巻の新しい名物にすることも目指し、市内の飲食店にも出荷しています。

「割烹 浜長」の料理人
「締めてすぐ来るので身持ちもいいし、歯ごたえもあるし、うまみもあるし、天然と遜色ないですよ」

こちらは店で提供されているフグコース(税込1万3200円)鉄刺とよばれる刺身や鍋、唐揚げなど存分にフグを味わうことができるコースです。この日は石巻市の斎藤正美市長も視察に訪れ、その味を楽しみました。

石巻市 斎藤正美市長
「陸上養殖というものに移動していかないと、本当にみなさんに食べてもらいたい。そういう気持ちでいっぱい」

海の町を陸上養殖技術で支える。この取り組みに寄せられる期待は大きく、今後の展開に注目です。

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