宮崎県日南市の銘菓「おきよせんべい」に、明治時代から続く132年の歴史の中ではじめて新商品が登場しました。気になるその味とは?

城下町の風情が残る日南市飫肥。おきよせんべい松家の4代目、小玉聡さんは、4年前に東京からUターンし、父親で3代目の和則さんから経営を引き継ぎました。

(おきよせんべい松家4代目 小玉聡さん)
「父と母は、自分の代で終わりにしてもいいと言っていた。私としては、なくなりつつあったものをやるということで、プレッシャーとしては少なかった。」

おきよせんべいは初代・小玉キヨさんが明治時代の1892年に生み出したお菓子で、132年の歴史があります。当日の朝ついた餅を小さく切って型に入れ、1枚ずつ焼いていきます。

聡さんは、まず今までのおきよせんべいを改良することから始めました。その一つが、蜜です。

(おきよせんべい松家4代目 小玉聡さん)
「もち米と砂糖だけというのが、従来のおきよせんべいの定義。今、スダチ果汁を入れています。」

蜜は、お湯と砂糖で作りますが、時間の経過とともに、砂糖の結晶と水に分かれていきます。その結果、せんべいの皮は水気を含み、ざらざらとした砂糖の結晶が間に残ってしまいます。

そこで、味に影響しない程度にかんきつの果汁をいれ、「結晶化」のスピードを遅くすることに成功しました。

(おきよせんべい松家4代目 小玉聡さん)
「いつも心がけているのは、そのシンプルなおいしさを最大限に増幅すること。」

その後取り組んだのが、新商品の開発です。

「一番大きかったのは、「若い世代の人に親しまれたい」という事。贈答用が多かったので、それはありがたいんですけど、もっとカジュアルな感じで、自分が食べるために買うとか、友達のところに持っていくからとか、親しまれるものを作りたいなと思って。」

試行錯誤の末辿り着いたのが、「キャラメル」味でした。

(おきよせんべい松家4代目 小玉聡さん)
「歴史を調べたら、キャラメルは1890年代の終わりごろ日本で初めて販売されて、流通され始めたという事がわかって。時代的におきよせんべいの始まりと同じくらいなので、従来のものと、並んで置いたときに調和がとれるというか、おかしくないもの。」

新商品は約1年半かかって完成。2023年5月に発売しました。
現在、先代の両親はサポート役として聡さんの仕事を見守っています。

(先代・和則さん)
「今までの形を変えないでとか、詰めの部分がいろいろあったんだなあということを知らなくて、隠れたところでずっとやっていたんだと思って、今頃関心しています。」

このキャラメル味、片面にキャラメル、片面にこがしバターを塗って皮ではさんでいます。上品さはそのまま、キャラメルの風味が広がります。

シンプルだからこそ奥深い世界。伝統の味とイメージを守りながら、より親しまれる「おきよせんべい」を目指す4代目の挑戦は続きます。

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