(ブルームバーグ): 日経平均株価が史上最高値を付けた3月以降に足踏みするなど膠着(こうちゃく)感を強める日本株市場の陰に隠れ、最高値を更新する株価指数が複数あることは相場の底堅さと物色の広がりを示している。

  日本取引所グループ(JPX)が上場企業に対し経営の効率性、企業価値の向上を促すために導入したJPXプライム150指数は26日、一時1237.13ポイントと最高値を付けた。同指数は昨年7月に算出を開始し、基準日の同5月26日を1000としている。

  株主資本利益率(ROE)や株価純資産倍率(PBR)が高い企業を選ぶいわば市場改革の優等生のとも言える指数で、構成銘柄のウエート上位はソニーグループや日立製作所、東京エレクトロン、キーエンス、リクルートホールディングス、三井物産、東京海上ホールディングスなど。4月以降に日経平均が2.6%下げているのに対し、プライム150は2.3%上昇している。

  みずほ証券の倉持靖彦マーケットストラテジストは、プライム150指数はROEが資本コストを上回っている企業で構成されており、「日本でもクオリティーの高いしっかりとしたグロース株を買うというストーリーはあると言えるだろう」と述べた。


  ROEや営業利益面で優れ、独立社外取締役や女性役員の選任などコーポレートガバナンス(企業統治)のスコアも高い400社で構成するJPX日経インデックス400も今週最高値を付けており、日本株に対し慎重姿勢に転じた海外投資家の資金が国外に逃げる半面、国内の機関投資家や個人の資金がこうした指数を押し上げている格好だ。

  底堅いのは優良株だけではない。小型株で構成されるTOPIXスモール指数は27日に最高値を付け、8四半期連続の上昇が濃厚だ。最近の小型株の強さは年初に強い動きを見せた大型株に対する出遅れ修正に加え、資本コストと株価を意識した経営を求めるJPXの要請に応じる中小型企業が増えており、ガバナンスの改善による株価の上昇余地が期待されている側面もある。

  28日の取引で3月に付けた終値ベースのバブル崩壊後の戻り高値を一時上抜けた東証株価指数(TOPIX)でも、50日移動平均を上回る銘柄が70%を超え、相場に広がりが出てきている。米S&P500種株価指数では現在、50日移動平均を上回る銘柄は50%を下回り、上昇モメンタムのある銘柄比率で日本が米国よりも高くなるのは昨年10月以来だ。

  とはいえ、日本銀行の金融政策や為替相場の先行き不透明感などからグローバル投資家の間で日本株への期待が揺らぎ始めており、知名度がまだ低いJPXプライム150などの指数がこのまま高値を更新し続けるかどうかは未知数だ。賃金の上昇が国内消費を刺激する好循環の実現は一つの焦点だが、実質賃金は依然マイナスのまま。こうした課題の克服が持続的な上昇への鍵を握る。

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