(ブルームバーグ): 11月5日の米大統領選に向けて、再選を目指すバイデン大統領とホワイトハウス返り咲きを狙うトランプ前大統領の最初の討論会が27日夜(28日午前)、ジョージア州アトランタのCNNのスタジオで始まった。
バイデン氏はその中でトランプ前政権下の米経済について、「急降下の状態にあった」とし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対応も「大きな不適際があった」などと振り返った。
バイデン氏、トランプ氏の経済政策は富裕層優遇
バイデン氏は住宅建築を増やし、住宅価格を引き下げ、家賃を制限する方針を示した。一方、トランプ氏は大統領復帰の場合の構想の一つである関税引き上げについて、赤字を減らし、中国のような国を抑えるとの考えを表明した。
バイデン氏はトランプ氏の経済政策は富裕層に報いるものだと批判した。トランプ氏はまた、選挙戦の争点の一つである女性の人工妊娠中絶の問題に絡み、妊娠中絶薬へのアクセスを阻止することはしないと語った。
主な展開は次の通り。
2024年大統領選挙での勝利を目指すバイデン大統領とトランプ前大統領は、いよいよ闘いの火ぶたを切る。選挙戦最初の討論会は、政治的な分裂にうんざりする国民の胸中に飛び込む機会となり得る一方で、一歩間違えれば悲惨な結果を招きかねない。
この討論は始まる前から歴史的なものとなっている。現職大統領と前大統領による討論は前例がない。しかも前大統領は主要政党の候補者として史上初めて、重罪で有罪評決を受けている。時期は従来の候補者討論よりかなり早い。過去30年間こうした討論を仕切ってきた超党派の委員会ではなく、ニュース専門局CNNが運営する。
米国の有権者は両氏の対決を冷めた目で見ている。高齢で失言が多い両氏は、そうした層の浮動票を勝ち取ると同時に支持層をてこ入れしなくれはならない。数カ月も前からお互いを公に非難してきた両氏は、国境の警備や経済、人工妊娠中絶といった問題をステージ上で討論する。
討論を前に押さえておくべきポイントは以下の通り:
討論はいつ、どうやって見るのか
米東部時間27日の午後9時(日本時間28日午前10時)から90分間、CNNとそのウェブサイトで視聴が可能だ。ブルームバーグ・テレビジョンのほか各放送局が生中継する。司会を務めるのはCNNのジェイク・タッパー、ダナ・バッシュ両氏。
討論会の参加資格は
CNNが設定した参加条件を満たしたのはバイデン、トランプ両氏だけ。登録有権者および投票意志の高い有権者を対象とした4回に及ぶ全国世論調査で15%以上の支持率を得、合計で270人の選挙人を獲得できる州の予備選に参加していることがその条件だ。従って両氏の票を奪う可能性が指摘されている無所属候補のロバート・ケネディ・ジュニア氏は、討論に参加しない。同氏は討論と同時間に独自のイベントを開催する。
討論会のルールは
会場のスタジオには聴衆を入れない。つまり拍手もブーイングも起きない。それぞれの候補者のマイクは、話す順番が来るまで消音される。過去の討論のように、相手を遮ってしゃべり出すようなことのないように設定されたルールだ。
両氏は演壇の後ろにいなければならない。コイントスの結果、バイデン氏は右を、トランプ氏は左を選んだ。事前にメモを準備してはならないが、水とペン、紙は用意される。
討論中にコマーシャルは2回入るが、候補者はその間、チームと相談することは許されない。両氏とも開会のスピーチはない。コイントスの結果、最後の演説はトランプ氏がやることになった。
両氏が討論で得るものと失うものは
バイデン氏は総じて好評だった3月の一般教書演説のように、年齢的な懸念を払しょくする機会になる。重要州の鍵を握る若い世代や黒人有権者とつながる必要もある。
トランプ大統領にとっては、先月の有罪評決から自分を切り離すチャンスでもある。また郊外に住む女性や、経済に不満を持つ人々を取り込みたいと考えている。
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年齢はどう出るか
バイデン氏(81歳)とトランプ氏(78歳)の組み合わせは、ホワイトハウスを争う主要政党候補者として最高齢であり、特に最近の不手際を考えて有権者は懸念を強めている。
バイデン氏は今年、エジプトのシシ大統領とメキシコ首脳を混同した。最近ではホワイトハウスで行われた奴隷解放記念日(ジューンティーンス)の祝賀式典で、音楽の演奏中に固まったように見えたことが話題になった。
トランプ氏は支持者集会でとりとめのない話に興じる傾向があり、しばしば政治家の名前を間違える。民主党のペロシ元下院議長と、共和党の大統領候補指名を争ったヘイリー元国連大使とを混同したまま、数分間話していたことはよく知られている。
両陣営ともソーシャルメディア上で、お互いの精神的な鋭敏さを問う動画を展開。こうした動画には虚偽的な意図を持って編集されているものもある。
トランプ氏の有罪評決はどう扱われるのか
トランプ氏は5月、不倫口止め料に関連した虚偽記載など34件の重罪で有罪評決を受けた。このほかに3件の刑事裁判を控えている。同氏は法的問題を逆手にとって支持者に寄付を募り、先月には資金調達額がバイデン氏のそれを上回った。
バイデン陣営は今月、5000万ドル(約80億円)の広告キャンペーンを開始。「人格は重要だ」というタイトルでトランプ氏の有罪評決を前面に出した。一方、バイデン氏の息子ハンター氏が銃器の不法購入・所持で有罪評決を受けたことも、討論で浮上する可能性がある。バイデン氏は息子への評決を受け入れた自分の姿勢と、司法制度を繰り返し攻撃するトランプ氏を対比させる可能性が高い。
どのような議題が出てくるか
トランプ氏はこれまで経済と国境の安全保障についてバイデン氏を繰り返し、そして効果的に非難してきた。ブルームバーグ・ニュース/モーニング・コンサルタントが実施した最新の世論調査によると、激戦州では両問題において共和党を支持する有権者が半数を超えている。イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争においても、バイデン氏は非白人を中心に若年層の怒りを買っている。
一方のバイデン氏は中絶の権利に対する連邦政府の保護撤廃や中絶へのアクセス制限を指摘し、トランプ氏と共和党への非難を展開する可能性が高い。ピュー・リサーチ・センターの調査によれば、米国民の過半数は全てのケース、あるいはほとんどのケースにおいて中絶の権利は法的に守られるべきだと考えている。バイデン氏はまた、民主主義を脅かす存在としてトランプ氏を批判してきた。トランプ氏はこれまで、政敵を処罰する可能性をほのめかしている。
FRBに対しトランプ氏ができることとできないこと-返り咲きの場合
次の討論会はいつか
9月10日。テレビ局のABCが主宰する。
原題:Biden, Trump Spar Over Economy in Their First Debate of 2024、Trump Says He Won’t Block Abortion Pill Access、Biden, Trump Face Off in First 2024 Debate: What to Expect(抜粋)
--取材協力:Gregory Korte.
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