(ブルームバーグ): 東証株価指数(TOPIX)が28日、バブル崩壊後の戻り高値を3カ月ぶりに更新した。日本株の上昇トレンドが持続する勢いであることが確認された。

  TOPIXは一時前日比1%高の2821.86ポイントまで上昇し、3月22日に付けた今年の日中高値(2820.45)を上回った。東証33業種で上げが目立つのは保険や銀行、証券・商品先物取引など金融セクターを中心に、商社を含む卸売など。指数の水準は1989年12月に記録した史上最高値(日中2886.50、終値2884.80)に迫っている。


  3月高値後のTOPIXは、大幅上昇の反動や企業の保守的な業績見通し、日本銀行の政策不透明感などが重しとなり、米国株が最高値を更新し続ける中でも調整局面となっていた。

  日経平均株価は3月に年初来高値で、史上最高値でもある4万1000円台を付けた後は調整局面が続いており、TOPIXがいち早く今年の高値を更新したことは、半導体などテクノロジー株の一極集中型相場から金融など内需セクターを含む多極型相場に変わってきたことを示す。

資本コストを意識した経営への期待も

  三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「この3カ月は大型バリュー(割安)株が相対的に強い」とし、「日本企業の資本コストを意識した経営への一定の期待が続いている」と述べた。

  特に、足元で上げが目立つ金融株については「日銀が慎重ながらも緩和修正に進み、国内金利環境が変わってきたことで利ざや改善など業績期待が出ている」との見方を示した。

  東証33業種で見ると、足元では国内長期金利が上昇基調となる中、銀行など金融株が強く、TOPIXを押し上げている。業種別で4-6月期に上昇が目立つのは保険、非鉄金属、海運、銀行、その他製品、倉庫・運輸、石油・石炭製品などだ。

  東京証券取引所の主体別売買動向によると、海外投資家は4月と5月に月間で買い越した後、6月は週間で売り越しがやや優勢。半面、事業法人は5月まで36カ月連続の買い越しで、6月の週間でも買い越し基調が継続している。コーポレート・ガバナンス(企業統治)の改善も追い風となり、自社株買いは需給面で日本株の上昇を支えている。

  TOPIXを構成する2137銘柄中、上昇は1002、下落は1010。売買代金上位では三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクのほか、東京海上ホールディングスやIHI、伊藤忠商事なども高い。半面、資生堂やアシックスは下げ、サイバー攻撃の影響で既刊本の出荷が急減しているKADOKAWAは大幅安。

  東証33業種中、上昇は28業種で、上昇率トップは保険、下落率トップは電気・ガスだ。

背景

  • 米失業保険継続受給者、21年末以来の高水準-失業期間が長期化
  • 米コア資本財受注、今年最大の減少率に並ぶ-企業の慎重姿勢示唆
  • ドル・円相場は1ドル=161円台前半で推移、前日の日本株終値時点は160円40銭
  • 前日の海外市況はこちらをご覧ください

--取材協力:田村康剛.

(背景や28日の相場詳細を追加し、記事を更新します)

More stories like this are available on bloomberg.com

©2024 Bloomberg L.P.

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。