いま、24時間営業でスイーツを無人販売する店舗が人気で、わずか1年半で全国に98店舗を展開中だ。ヒットの秘訣はどこにあるのか。29歳の若き創業社長に聞いた。
24時間スイーツ無人販売 29歳社長語るヒットの秘訣
5月にオープンしたばかりの24スイーツショップ平塚店。店内に置かれた冷凍ケースの中には、徳島県にある洋菓子店のショートケーキ缶や、福井県で人気の瓶詰めのみたらし団子など、200円台から高いものでは1000円を超えるものまで、全国各地の有名スイーツが並ぶ。客はお目当てのスイーツを一つから購入することができ、無人販売のため、セルフレジで会計をする。子連れの女性客は「自宅で食べる時にも来るが、人の家に手土産で持っていくことがある。いつでも来られるというのは大きい」。男性客は「酒飲んだ後でも甘いもの食べたくなるときがある」。2人組の女性客は「全体的に写真映えするものが多い感じ」という。
この24スイーツショップを創業したのが29歳の久保田翔也社長。2023年1月に地元の広島で直営の1号店をオープン。その後、フランチャイズ展開により現在98店舗にまで拡大し、売上高は1年前と比べ9倍になるなど、急成長している。ヒットの秘訣を久保田社長に聞いた。
――お店作りとしては、どういうことを意識しているのか。
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
「SNS映え」や、見てわくわくするようなイメージでネオン装飾などを取り入れている。
7年前から、建設会社や警備会社を経営している久保田社長。全くの異業種であるスイーツ、しかも24時間無人販売を始めたきっかけは何だったのか。
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
役員の母親がよく通販でスイーツを買っていた。食べたいスイーツがあるけれども(送料込みの)値段が高かったり、セット買いしかできなかったり、すぐに食べられなかったりという課題を聞き、24時間いつでも購入できて、全国各地のスイーツを集めれば支持されるのではないか、需要があるのではないかと考え、設立した経緯がある。
――オープンして、反響はどんな感じだったのか?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
かなり反響があり、初日でも200名以上の客が来店してかなりびっくりした。
――無人販売にこだわった理由は?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
別の会社で行っている事業で警備業とか建設業というのがあって、そこの分野自体はかなり人に依存してしまう。人に悩まされてきたという経験があったので人に依存しない仕組みでビジネスが成立するようなものを模索していて無人業態に着目した。
――無人なら人件費はかからないので、オペレーションコストが安くなる?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
粗利率は、正直言って高くない。無人だからこそ成り立っているビジネスでもある。
24スイーツショップでは、常時40種類から50種類以上のスイーツを店頭に並べることで、ライバル店と差別化しているという。
――有名菓子店のスイーツ。仕入れの苦労は?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
初期は特にあった。電話しても断られる。話も聞いてもらえない。そもそも担当者に電話が繋がらないみたいな形で最初はかなり苦労した。現在は取材を受けたりYouTubeの番組に出演したというところもあり、逆にお声がけしてもらえるようになって、かなり卸業者とかの開拓はやりやすくなった。
――今、どのぐらいの仕入れ先から何点ぐらい取り扱っている?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
業者数でいうと80社前後ぐらい。商品数でいうと700品から800品ほど。
――頻繁に商品が入れ替わっていくというイメージか。
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
色々な全国の商品を楽しめるところに、価値・需要があると認識している。色々な商品を提供するために入れ替えはかなり重要視している。最低限、年間で新規200商品をリリースするのが今の目標。
店頭に並ぶスイーツの価格帯は700円や1000円を超えるものなど、コンビニスイーツと比べて高価格帯の商品が並んでいる。久保田社長は商品選びでは、価格や味はもちろんのこと、「SNS映え」を強く意識しているという。
――コンビニスイーツとの競合は?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
競合とは考えていない。インスタ映えする商材を主に取り扱いしていくところで、日常的に利用するのは、コンビニなど。24スイーツは「非日常」というところで、1か月に1回とか、2か月に1回利用してくれればいいというイメージ。たまに友達とか家族で集まるようなときに24のスイーツを手土産に持っていく。そういう利用シーンを想定している。
――24時間無人販売「ギョーザ」と「スイーツ」違いは?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
商材の自由度や幅みたいなところでいくと、スイーツは強いかなと考えている。
広島県内に出した2つの直営店の反響を受け、フランチャイズ展開に乗り出して以降、わずか1年半で全国に98店舗を展開している。地方都市を中心に出店し、中にはオープン1か月で2000万円を売り上げる店舗も出ている。
24時間スイーツ無人販売 全国98店舗に拡大中
2023年の4月から愛知県内で24スイーツショップを2店舗経営するこちらのオーナーは、工場内の省人化のための機械を設計・製造する会社の社長を務めている。
24スイーツショップ「岡崎矢作店」「豊田店」渡邊貴晃オーナー:
本業の方でも採用がなかなか難しかったりしている。無人というだけで雇用に困らないし最悪自分でやればいい。
渡邊オーナーの経営する店舗では、現在は平日で1日あたり20組。週末や母の日などのイベント前は100組近い来店があり、順調に黒字経営が続いているという。
24スイーツショップ「岡崎矢作店」「豊田店」渡邊貴晃オーナー:
立地が一番大事というところは久保田社長も重要視している。
車社会の地方都市では、家賃の高い駅前よりも、通勤や買い物に使われる生活道路沿いで、駐車場を備え、何かのついでに立ち寄りやすいかが収益に繋がるという。そして、オーナーの業務は、定期的に店舗を訪れ、商品の補充や掃除、商品の発注などを行いながら、SNSの告知に力を入れる。
24スイーツショップ「岡崎矢作店」「豊田店」渡邊貴晃オーナー:
うちを忘れないでいてもらうために毎日投稿するというか、新しい商品を箱開けたりとか、ちょっと断面切ってみたりして見せたりとかしている。
――フランチャイズ展開は順調? 当面の出店目標は?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
おかげさまで、たくさんお問い合わせは、いただいている。5年以内には500店舗を目指したいと思っている。(今の5倍?)そういう目標を1つ掲げている。
――めずらしいからこそ再来店のハードルがあるのでは?売り上げ維持の方法は?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
オープン景気はものすごく強くてそこからどうしても右肩下がりになってしまう。やはり商品の入れ替えのスピードが最も大切だと感じている。今は日本から仕入れをしているが、ゆくゆくは世界、韓国とか結構最先端で流行ったりするものが多いので、韓国から商品を仕入れるようなルートを確立できればと思っている。わたあめの機械は韓国でかなり流行っているもので、実験的に今ここにしかないのだが、かなり好評でまだ半月ぐらいで2、300本ぐらいは売れている。
――今後の展開は?
「24スイーツショップ」創業者 久保田翔也社長:
いろいろ考えたりもするが、ひとまずはまだまだこの24スイーツ自体、課題は抱えているので、まずはここに注力したいと思っているので、すぐに何か横展開していくことは考えていない。(とにかく500店舗を目指す?)はい。ペース的にはいけるかなと思っている。
24時間無人スイーツショップ その魅力と特徴とは!?
24スイーツショップの特徴。出店は地方郊外が中心。商品数は約800種類で価格帯は200円台から1000円前後のもの。7割が女性客で、ピークタイムは街の洋菓子店が閉まったあとの午後7時から11時となっている。
――この新ビジネスをどう思うか?
千葉商科大学教授 磯山友幸氏:
すごいグッドアイディア。ほとんど冷凍品が中心なので、保存期間が長いから、店としても長期間にわたって売ることができる。
――狭い面積で人件費かけずにできることが、フランチャイズ側にも魅力だ。
実際に24スイーツショップの出店数を見ると、2023年1月に広島で直営店を開業し、直営店は広島県内の2店舗のみで、その他は全てフランチャイズ店。北は山形から南は沖縄までわずか1年半で98店舗をオープン。2028年までに500店舗を目指すそうだ。
(BS-TBS『Bizスクエア』6月22日放送より)
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