火星探査機の開発に挑んでいる東北大学を中心とした学生たちのチームが先日、アメリカで開かれた世界大会に出場しました。

ARES Project チームリーダー 阿依ダニシさん
「大会行ってみてこれはもう一回戦うしかないと、もう一度素晴らしいローバーを持っていきたいと、みんな情熱とモチベーションとパッションがあがる大会になりました」

こう話すのは、学生の火星探査機開発チーム「ARES Project」のリーダー・阿依ダニシさん。東北大学大学院で航空宇宙工学を学んでいます。阿依さんをリーダーとする「ARES Project」は日本時間の先月30日から、アメリカ・ユタ州で行われた火星探査機の開発を競う学生の世界大会に出場しました。世界15カ国102チームがエントリーした中で、日本からの本戦進出は初めてという快挙です。
「ARES Project」には、東北大学と慶応大学を中心に学生40人が所属しています。普段は離れた場所にいるため、リモートで打ち合わせを行いながら、2カ月に1回から2回合宿をして開発を進めています。

開発の主戦場になっているのがメンバーたちが「火星」と呼んでいる場所。東北大学青葉山キャンパスの中にある赤土の土地で、火星そして世界大会を想定し走行試験を繰り返しています。世界大会出場を前にリーダーの阿依さんは、こう意気込みを語りました。

ARES Project チームリーダー 阿依ダニシさん
「例えばトップ10に入るとか、初出場のチームなのにすごいなと言わせるような実力はあるんだと、ただ今後さらに成長するから皆期待して待っとけと言えるような成果を残したいというのが今回の目標です」

世界大会の舞台、アメリカ・ユタ州へ向かったメンバーたち。探査機はいったん解体しなくては運べないため、到着後に再度組み立て、現地でも調整を続けました。

重さ5キログラムの物を持ち上げるテストに成功し、歓声を上げるメンバーたち。夜は全員でひとつの部屋に集まり作戦会議を続けます。現地でも徹夜の作業があったそうです。
大会は、「指定された地点を巡り岩石を回収する」「完全自動運転でゴールを目指す」など4つのミッションの合計得点を競います。現地では砂嵐による動作不良や車体の故障など予期せぬ事態も発生したといいます。

ARES Project チームリーダー 阿依ダニシさん
「ローバーをスタートさせた直後にタイヤが外れて折れてしまう状況に至って、ローバーがその場から落ちた」

苦しい状況の中、チームが輝きを見せます。ローバーで採取した物質の成分を分析するミッションで分析結果のプレゼンテーションが高い評価を受けたのです。そして…

このプレゼンでチームは「優秀賞」を受賞。全体の結果は34チーム中32位と思うようなものではありませんでしたが、確かな成果と手応えを得てチームの火星探査機にかける思いはさらに強くなりました。

ARES Project チームリーダー 阿依ダニシさん
「来年もう一度、今度は少なくとも優勝を目指そうという、より強い意志にみんな変わって帰ってくることができたのが、行ってみて感じて知ったこと」

世界大会にもう一度。来年の目標は「少なくとも優勝」です。そして、リーダーの阿依さん自身にはもう一つ大きな夢が。それは「宇宙飛行士になる」こと。

ARES Project チームリーダー 阿依ダニシさん
「プロセスそれぞれが将来の宇宙飛行士の挑戦につながっていくのかなというのが確信を持てたところなので、今やっている研究やプロジェクトを一生懸命やろうとそういう気持ちになって帰ってこられました」

宮城発、宇宙行き。初めての世界大会で得た手応えを胸に、さらに大きな目標に向かって進んでいきます。

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