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 東京・国立市にあるマンションが、引渡し目前で突然の解体が決定されました。番組の取材で、積水ハウスの幹部が現地の眺望を確認して、解体に舵を切ったことが分かりました。

■「工事の手続き書面」入手…解体の背景は?

マンション引渡し目前… この記事の写真 元国立市議 石塚陽一氏
「なぜ、積水ハウスがこの期に及んで取り壊しを決定したのか。その真意が何なのか。私は知りたい」 反対住民
「こういう形(解体)になってびっくり。非常に複雑な心境ですね」 解体の背景

 反対していた住民らも困惑する、突然のマンション建設中止。

一級建築士 内田直之さん
「法令違反や構造上の問題がないなかで、解体されるというのは極めて異例」

 「建築業界では異例」とも言える今回の判断。解体が決まった背景には、いったい何があったのでしょうか。

美景の国立、本流の邸域。

 富士山の眺望が臨めることを売り文句に販売されていた、国立市・富士見通り沿いの10階建てマンション。チラシには「美景の国立、本流の邸域。」と書かれています。

「富士山の眺望が悪くなる」

 当初は11階建ての計画でしたが、「富士山の眺望が悪くなる」などと近隣住民から反対があったことを受けて、10階建てに変更されました。

 しかし、それでも一部の住民の生活には影響が…。

近隣住民
「家に日が当たらなくなってしまうとか、マンションの高さが高いのでプライバシーが守られないとか。テレビが映らなくなってしまい、電気屋さんに来てもらったら、『このマンションが建った影響で、電波障害が起きている』と言われた」 住民からの相談

 マンション建設時に国立市議を務めていた石塚さんの元には、住民からの相談が相次いだといいます。

石塚氏
「日照権をはじめ、生活する上においてマイナス。精神的にまいった方とかがいる。国立市は本当に小さな市で財源も乏しいですから、少しでも市民税の税収が上がり、固定資産税が取れる街にしなければと思うが。この話を受けてしまったら、100年間にわたって景観を守ってきた国立の街づくりに反するんじゃないかと」 工事手続き書面の入手

 その後、住民の反対運動は続きましたが、法令の基準などはクリアし、建設が進められたマンション。来月には完成し、入居者への引き渡しも始まる予定でした。

 番組が入手した工事の手続き書面を見ても、建設を手掛ける積水ハウスが先月22日、市に対して工事の完了届を提出したことが確認できます。

解体決定

 しかし、その2週間後に引き渡し直前のマンションが解体されることは、通常あり得ることなのでしょうか。

国立市の担当者
「今月4日に、積水ハウスから事業の廃止届が提出されました。事前の手続きも終わり、残るは最後の完了検査だけだったので、我々もびっくりしています」

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■「解体決断の背景」積水ハウスを独自取材

■「解体決断の背景」積水ハウスを独自取材

何が起きた?

 別のマンションの建設計画に携わったことがある一級建築士・内田直之さんは、次のように話します。

一級建築士 内田直之さん「極めて異例」 内田さん
「法令違反や構造上の問題がないなかで、解体されるというのは極めて異例。びっくりしました」
「(Q.なかなかないこと?)私は聞いたことありません。今回、解体(の決断が)できたのも、大手事業者だったからだと思います」
「(Q.普通の業者ではできない?)倒産するんじゃないですか。小さい会社だと」

 工事の完了届を提出してから廃止届が出されるまで2週間、何が起きたのでしょうか。

 番組が独自に積水ハウスを取材すると、決断の背景が見えてきました。

 マンションを建設・販売する部署では、GOサインが出ていたという今回の計画。ただ、会社の幹部が景観を確認したところ、一転、方針が変わったということです。

積水ハウス担当者
「法令もクリアし、近隣住民の方たちとの調整を続け、マンション事業部では建設ができるという判断だった。しかし、近隣だけではなく、富士見通り全体からの眺望を、会社の幹部や他部署でも確認したところ、進めるべきではないという判断になった」 日当たりの問題も

 積水ハウスは、近隣で日当たりの問題が起きていることを把握。さらに「富士見通り周辺で、富士山の眺望に大きな影響が出る」と判断したことから、建設中止を決めたのだといいます。

積水ハウス担当者
「再検討のタイミングが非常に遅かったが、富士見通りからの富士山の眺望は、地域の資産であり、マンションを積水ハウスとして残すべきではないと考えた」 積水ハウスのコメント

 すでに解体するための届けは出していて、工事は数カ月以内に始まる見通しだということです。

(「グッド!モーニング」2024年6月11日放送分より)

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