バイデン米大統領は1日、首都ワシントンで演説し、日本を中国やロシア、インドと並べて「外国人嫌いで、移民を望まないから、(経済的な)問題を抱えている」と述べた。11月の大統領選に向けてアジア系米国人らの献金を募る集会での発言で、移民の貢献を強調する狙いがあったが、4月に岸田文雄首相の国賓待遇の訪米で緊密さをアピールした日米関係に水を差す発言となった。
ホワイトハウスのジャンピエール報道官は2日の記者会見で「大統領は米国にとって移民がいかに重要かについて話していた」との釈明に終始した。「今後も同じ言い回しを使うのか」という質問には「大統領次第だ」と答え、「陳謝しないのか」との質問には答えなかった。毎日新聞はホワイトハウスに「日本が外国人嫌いだ」と発言した根拠を問い合わせたが、回答はなかった。
日本政府は米政府にバイデン氏の発言の内容や意図を照会した上で、対応を検討している。日本政府関係者は「何を言っているのかとあきれる内容だ」と不快感を表した。
バイデン氏は1日の集会で「米国の経済が成長している一因は、あなた方にある。我々が移民を歓迎しているからだ」と強調。「中国の経済がひどく失速しているのはなぜか。日本やロシア、インドが問題を抱えているのはなぜか。彼らが外国人嫌いで、移民を望まないからだ」と指摘した。
集会は、米国で5月がアジア系、ハワイ系、太平洋島しょ系の「文化遺産継承月間」とされるのにちなんで企画された。非公開で映像はないが、ホワイトハウスが2日に発言録を公表した。
バイデン氏は2023年6月にも日本の防衛費増額や日韓関係改善について「私が日本の態度を変えようと努力した」「私は彼(岸田氏)を説得した」などと発言。日本政府の申し入れを受けて、「誤解を招く発言だった」と謝罪したことがある。バイデン氏は失言癖で知られるが、非公開で映像撮影がない行事では特に失言が多い傾向にある。【ワシントン秋山信一】
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