G7財務相・中央銀行総裁会議の終了後、記者会見する加藤勝信財務相=米首都ワシントンで2024年10月25日、大久保渉撮影

 主要7カ国(G7)は25日、ロシアの凍結資産を活用した総額500億ドル(約7・6兆円)のウクライナ向け融資で最終合意した。米国が全体の4割の200億ドルを拠出する。今年12月から2027年12月までの3年間にわたり、軍事、復興支援などに必要な資金をウクライナに貸し出す。

 欧州連合(EU)は350億ユーロ(約5・8兆円)を上限に拠出することを決定済み。EUや日本、英国、カナダが米国以外の300億ドルを拠出する。ロシアがウクライナへの賠償を終えるまで資産は凍結し続ける。

 22年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、欧米が凍結したロシアの資産は総額約2800億ドルで年間最大で50億ドル程度の運用益を生み出す。欧米各国で「支援疲れ」が表面化しており、融資の返済はこの運用益でまかなう計画。

 G7は25日に発表した共同声明で「ロシアは違法な侵略戦争を終結させ、ウクライナに与えた損害を賠償しなければならない」と明記。「我々はウクライナが必要とする限り支援するとの揺るぎない約束を改めて明確にした」と強調した。

 G7は6月の首脳会議(サミット)で凍結資産を活用したウクライナ向け融資の枠組みを設けることで合意。拠出方法など細部を詰めており、25日に米首都ワシントンで開いたG7財務相・中央銀行総裁会議で最終合意した。

 加藤勝信財務相は記者会見で「今回の措置で日本国民に追加的な負担が生じるものではない。G7が一致してウクライナを断固支援する姿勢を示すものだ」と意義を強調した。【ワシントン大久保渉】

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