イスラエル軍は26日未明、イランによる弾道ミサイル攻撃などへの報復として、イランの軍事施設を標的に「精密攻撃」を加えたと発表した。イランメディアなどによると、首都テヘランや近郊カラジのほか、イランと関係が深いシリアの首都ダマスカスでも爆発があった。被害の詳細などは不明だが、イランがさらなる報復に乗り出す可能性もあり、紛争が拡大する恐れがある。
イスラエル軍は声明で、パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘が始まった昨年10月以降、イランや親イラン武装組織がイスラエルに対して攻撃を続けていると指摘し、「報復としてイランの軍事施設に精密攻撃を加えている」と発表した。
ロイター通信は米政府関係者の話として、イスラエルが攻撃について、事前に米国に通知していたと報じた。米国は今回の攻撃には直接関わっていないという。
イスラム教シーア派国家のイランはイスラエルを敵視し、ガザ地区のイスラム組織ハマスやレバノン南部のシーア派組織ヒズボラなどを支援してきた。今年4月にはイスラエルが在シリアのイラン大使館を空爆したことを受け、イスラエルに無人機や巡航ミサイルなど300発以上を発射。さらに今月1日、ハマスやヒズボラの指導者らが相次いでイスラエルに殺害されたことへの報復として、イスラエル各地に弾道ミサイル180発以上を撃ち込んだ。
これを受け、イスラエルのネタニヤフ政権は報復を宣言。イランの核施設や石油施設を標的にすることも検討していた。しかし、いずれのケースもイランによる更なる報復を招く可能性が極めて高かったことから、イスラエルの支援国である米国は反対していた。【カイロ金子淳】
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