続々と発表されている今年のノーベル賞受賞者。注目されているのが、AIに関する研究の連続受賞だ。
【映像】AIの「原型」 当時は大型コンピューターで研究
ノーベル化学賞はタンパク質の立体構造の研究をした3人が受賞した。
デビット・ベーカー氏はタンパク質の立体構造をコンピューターで設計し、全く新しい種類のタンパク質を生み出すことに成功した。
グーグル・ディープ・マインドのデミス・ハサビス氏とジョン・ジャンパー氏は複雑なタンパク質の構造をAIで予測する「アルファフォールド」を開発。
アミノ酸配列を入力するだけでタンパク質の立体構造を予測し、3Dモデルを表示することができる。精度はおよそ90%で、新薬の開発が大きく加速することが期待されている。
ノーベル物理学賞はアメリカ・プリンストン大学のジョン・ホプフィールド教授とカナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン名誉教授が受賞。
脳の神経細胞の働きを模倣したコンピュータープログラム「人工ニューラルネットワーク」を考案し、AIの機械学習の基盤を築いたことが評価された。
ヒントン名誉教授は「AIの父」とも呼ばれる第一人者だが、去年グーグルを退社し、開発競争の過激化やAIがもたらす悪影響について警鐘を鳴らしてきた。
今回の受賞発表後も、AIによる効率化などメリットを挙げた上で、その危険性について以下のように語った。
「人間よりも賢いものが存在するというのはどういうことか、私たちはまだ経験していない。様々な悪影響、特に制御不能になるという脅威についても心配しなければいけない」
今回、物理学賞のリリースにはこうした研究の基礎を作ったとして、日本人研究者の名前やその文献も記載されていた。
脳の研究を始め人工知能によるデータ解析の研究に従事する東京大学の岡田真人教授は、特に大きな貢献をした研究者として、東京大学の甘利俊一名誉教授と、電気通信大学の福島邦彦特別名誉教授の名を挙げた。
「甘利先生はホプフィールド氏よりも前に、その原型となるモデルを提案している。福島先生は、ニューラルネットの基礎となるネオコグニトロンを提案している」
ネオコグニトロンは、ヒントン氏らの画像認識技術の開発の参考にもされたという。では、こうした基礎的な理論での貢献があったにもかかわらず、受賞の有無を分けたのは何だったのか。
「プレスリリースに名前が書いてあるということは、審査員もこうした日本人研究者の貢献については調べて把握しているのだということはわかる。そのうえでホプフィールド氏らが受賞したのは、研究の社会を動かすような影響力、波及効果に対する評価だったのではないか…というところで納得するしかない」
(『ABEMAヒルズ』より)
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