初めて公開された国産弾道ミサイル「玄武5」。弾頭の重さは約8トンある=ソウル市で2024年10月1日、代表撮影・AP

 韓国の首都ソウルで1日、「国軍の日」の記念式典があり、弾頭の重さが8トンの国産弾道ミサイル「玄武(ヒョンム)5」が初めて公開された。北朝鮮も9月に類似のミサイルの発射実験に成功したと主張している。北朝鮮への強硬姿勢を取る尹錫悦(ユンソンニョル)政権が、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、国防力を誇示した。

 また韓国軍は1日、ソウルの軍事基地内に「戦略司令部」を新設した。玄武5をはじめ攻撃用の各種ミサイル、ミサイル防衛システムなどを指揮し、北朝鮮の核攻撃などを抑止する。

 玄武5は、特殊加工を施した巨大弾頭がコンクリートなどを貫いて地下施設を攻撃する地下貫通弾(バンカーバスター)の一種。平壌にあるとされる地下司令部への攻撃能力を示すことで北朝鮮の核使用を抑止する狙いがある。尹氏は式典で「(北朝鮮が)もしも核使用を企てるなら、韓米同盟の圧倒的な対応に直面するだろう」と警告した。韓国メディアは、戦術核兵器に次ぐ破壊力がある「怪物ミサイル」だと報じている。

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は9月、弾頭重量4・5トン級の大型弾頭を搭載した新型ミサイルの発射実験に成功したと主張しており、北朝鮮も地下貫通弾の開発に注力している模様だ。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は、核兵器に加え通常兵器でも「世界最強」を目指すと強調した。南北間の意思疎通が途絶えるなか、互いに軍事力を誇示する事態となっている。

 国軍の日の式典会場では玄武5に加え、装甲車や戦闘機、無人機など最新兵器が披露された。さらに米空軍のB1B戦略爆撃機が上空を飛行し、その後、ソウル市内で軍事パレードがあった。

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は1日、B1Bの飛行などに触れ「我が軍隊は、どのような脅威からも国家の安全環境を徹底的に守る万全の準備を整えている」と反発するキム・ガンイル国防次官の談話を発表した。【ソウル福岡静哉】

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