米連邦検察は26日、トルコ政府関係者らから豪華旅行の接待を受けた見返りに便宜を図ったなどとして、大陪審が東部ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長(64)=民主党=を収賄罪などで起訴したと発表した。米紙ニューヨーク・タイムズが25日にアダムズ氏が起訴されたと報じたが、司法省は起訴状を公開していなかった。
起訴状によると、アダムズ氏は2014年にニューヨーク市ブルックリン区長に就任して以降、海外渡航の際にトルコ政府高官やトルコ人実業家らから無料航空券を受け取ったり、無料でビジネスクラスにアップグレードしてもらったりした。高級ホテルの宿泊代も肩代わりしてもらっていた。接待の総額は10万ドル(約1449万円)を超える。
また、18年ごろから21年の市長選に向け、トルコの実業家らから献金を集めていた。米国では外国籍の人物による献金などが連邦法で禁じられている。
検察は、アダムズ氏が見返りとして、21年9月、トルコ政府が建設した領事館も入居する36階建ての高層ビルに安全上の問題があったにもかかわらず、開設を許可するよう市消防当局に圧力をかけたとしている。
元警察官のアダムズ氏は21年市長選で治安の改善などを訴えて初当選し、翌22年に黒人として史上2人目のニューヨーク市長に就任した。米メディアによると、この日、アダムズ氏は報道陣に対して無罪を主張。「弁護士がこの件を処理してくれる。私は市政に集中する」として辞任を否定した。アダムズ氏は来年の市長選で再選を目指している。現職のニューヨーク市長が起訴されるのは初めて。【ニューヨーク中村聡也】
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