記者会見した米国のハリス副大統領(右)とウクライナのゼレンスキー大統領=ホワイトハウスで2024年9月26日、AP

 米国のバイデン大統領とハリス副大統領は26日、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領とそれぞれ会談した。米政府は約79億ドル(約1兆1000億円)の追加の軍事支援を表明した。

 ハリス氏は個別会談前にゼレンスキー氏と共に取材に応じた。ウクライナを支援する重要性を強調した上で、名指しはしなかったものの、共和党のトランプ前大統領を念頭に「我が国の一部の人々がウクライナの領土を放棄させ、中立化を受け入れさせようとしている」などと批判。ロシアのプーチン大統領と同じ提案だとし、「和平ではなく、降伏の提案だ。危険で容認できない」と述べた。

 ホワイトハウスによると、ゼレンスキー氏はバイデン氏に対ロシアの「勝利計画」を説明し、両氏は計画について外交、経済、軍事の面から協議した。今後実務者レベルで集中的に話し合うという。また米政府は長距離ミサイル「統合スタンドオフ兵器(JSOW)」や地対空ミサイル「パトリオット」を供与するほか、米国製F16戦闘機の訓練も拡大する。

 またバイデン氏はウクライナの防衛支援に関する50カ国以上の首脳級会合を10月12日にドイツで主催し、その際に勝利計画に関する協議の進捗(しんちょく)状況を確認するという。

 一方、米紙ワシントン・ポストによると、バイデン氏はゼレンスキー氏が求めていた米供与の長距離射程ミサイルによるロシア領内への攻撃は認めなかった模様だ。

 米紙ニューヨーク・タイムズは26日、米国や英国などが供与した長距離射程のミサイルでウクライナによるロシア領内への攻撃を認めた場合、ロシアが米国などに対して強力な報復を行う可能性が高いと米情報機関が分析していると報道。同紙は「バイデン氏にとって(ロシア領内への攻撃の許可を出す)決断が困難だと説明する理由の一つになる」としている。

 またバイデン氏は会談の冒頭で「将来にわたってウクライナとともにある。ロシアが勝つことはない」と説明。ゼレンスキー氏も「新たな支援は大きな助けになる」と謝意を示した。

 トランプ氏は26日の記者会見で、ゼレンスキー氏と27日に会談すると発表した。ゼレンスキー氏は勝利計画について説明するとみられる。【ワシントン松井聡】

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