米国での銃暴力対策を強化する大統領令に署名した後、そのペンをハリス副大統領に手渡すバイデン大統領=ホワイトハウスで2024年9月26日、ロイター

 バイデン米大統領は26日、3Dプリンターで製造された銃や、拳銃を機関銃のように改造する装置などを取り締まることを目指す新たな大統領令に署名した。学校での銃事件が絶えないことから、銃撃犯に備えた学校での訓練を効果的に実施するための方法をまとめるよう関係閣僚らに指示することも盛り込んだ。

 11月の大統領選でも、銃規制の強化は争点の一つだ。バイデン氏とともにホワイトハウスで開かれた署名式に出席したハリス副大統領は「(武器所有の権利を保障した)憲法修正第2条に賛成か、それともみんなの銃を取り上げたいのか、という選択は誤っている」と指摘。修正第2条に賛成の考えを示したうえで、同時に規制は強化すべきだと強調した。共和党のトランプ前大統領は規制に反対している。

 米国の銃事件を調査している「ガン・バイオレンス・アーカイブ(GVA)」によると、死傷者が4人以上の「銃乱射事件」の発生件数は、昨年同時期より約2割減っているものの今年も既に406件起きている。今月4日にも南部ジョージア州の高校で14歳の男子生徒による銃乱射事件があり、生徒2人と教師2人の計4人が死亡し、9人が負傷した。

 ホワイトハウスによると、3Dプリンターで作られた銃は、製造番号がないため追跡が難しいうえ、空港などでの金属探知機による検査をすり抜けることもある。また、拳銃などを軍用機関銃のような発射速度に変える改造装置は、連邦法で所持は違法とされているが、小型で安価なうえ取り付けも容易なことから、事件現場で発見されることが多いという。

 大統領令は、「新たな銃器の脅威タスクフォース」を設置し、こうした銃器や装置の検出や押収などができるよう取り締まり強化に向けた報告書を90日以内にまとめるよう指示した。

 また、各学校は銃撃犯が襲ってきた際の訓練を実施しているが、効果が疑問視されているうえ、訓練が生徒たちにとってトラウマになってしまうケースもある。このため、効果的な訓練の方法やトラウマや心理的な苦痛を生徒や学校関係者に与えないようなやり方などを110日以内に公表するよう教育長官と国土安全保障長官に指示した。【ワシントン西田進一郎】

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