米ニューヨークで開かれた国連総会で一般討論演説に臨むバイデン大統領=2024年9月24日、AP

 バイデン米大統領は24日の国連総会での一般討論演説で、北朝鮮情勢に言及しなかった。2021年1月の政権発足以来、米朝関係には目新しい動きがなく、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展で「非核化」は遠のいている。

 米国がウクライナや中東、中国への対応に追われる一方、北朝鮮との外交が進んでいない現状が浮き彫りになった。

 バイデン氏は約24分間の演説で、ロシアのウクライナ侵攻、中国との戦略的競争、中東情勢、スーダン内戦に一定の時間を割いた。「イランが核兵器を決して保有しないようにしなければならない」とも述べたが、北朝鮮の核開発には言及しなかった。

 バイデン氏は21年以降、国連での演説では北朝鮮に毎回言及していた。23年も北朝鮮の弾道ミサイル発射について「国連安全保障理事会の決議違反を続けていることを非難する」と述べる一方で、「朝鮮半島の非核化をもたらす外交に取り組む意思がある」と強調していた。

 ただ、バイデン政権発足後、米側からの対話の呼びかけに北朝鮮が応じない状況が続いている。トランプ前政権の4年間には、非核化は前進しなかったものの、3回の米朝首脳会談が開かれた。

 北朝鮮の核・ミサイル能力の向上は着実に進み、最近ではロシアに兵器を供与する見返りとして核・ミサイル技術の支援を求めているとの見方がある。一方、米政府は日韓との安全保障協力を強化し、抑止力の向上を図っている。【ワシントン秋山信一】

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