笑顔の子どもたちの写真が目を引く写真展「私たちが見たパレスチナ」=大阪市北区で2024年4月11日午後0時45分、藤村元大撮影
写真一覧

 2023年10月7日、イスラム組織ハマスの襲撃をきっかけに、イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区への大規模攻撃が始まり、半年がたった。戦火が終息する見通しがない中、パレスチナの日常に焦点を当てた写真展が大阪市北区中津3の「コモンスペースハナヤ」で開かれている。14日まで。入場無料。

 写真展のタイトルは「私たちが見たパレスチナ」。大阪など各地在住の6人が02~22年にガザ地区やヨルダン川西岸地区などで撮影した計63枚の写真が展示されている。そこに映るのは、過去の攻撃で破壊された建物や検問所と並び、子どもたちの笑顔や海水浴を楽しむ普通の人たちの日常だ。

パレスチナ自治区のガザ地区で出会った子どもたち=2002年8月、村上麻衣さん撮影
写真一覧

 写真を出品しているのは、有志市民によるプロジェクト「マクルーバ」で、これまで京都や広島などで同様の写真展を開いた。コモンスペースハナヤの鈴木輝子さん(62)らが以前の写真展で「印象的な写真が多く新鮮だった」と感じ、マクルーバに今回の開催を働きかけた。

 写真を出品している府内在住の福祉職、村上麻衣さん(44)は大学在学中に、米同時多発テロ(2001年9月)が起きたのをきっかけに中東情勢に関心を持ち始めた。大学卒業後の02年にスタディーツアーでパレスチナを訪問。破壊された家や傷ついた子どもたちを目の当たりにした。「なぜこんなことが許されるのか」と疑問が尽きず、帰国後も報告会などを開いた。

 近年はパレスチナとの関わりはほぼなくなっていたが、イスラエルによる攻撃が激化し、「ガザが消されてしまう」との不安が募った。自宅の本棚から約20年前に撮影したパレスチナの写真を引っ張り出し、写真を友人に見せると、共感の輪が広がって「マクルーバ」が生まれた。

 写真展会場には、訪れた人がメッセージを書けるスペースがあり、涙を流しながら書く人もいるという。兵庫県から訪れた女性(61)は「過去にエルサレムに行ったことがあり、興味があった。何気ない日常がいかに大切かを学べた」と話した。

 村上さんは「かつてあったパレスチナの日常を見てもらい、少しでも関心を持ってもらいたい」と話している。問い合わせはマクルーバ(メール=ppp.maqluba@gmail.com)。【藤村元大】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。