日本、米国、オーストラリア、インドは21日(日本時間22日)、米東部デラウェア州ウィルミントンで4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会議を開き、会議後に共同声明を発表した。中国が進出を強める東・南シナ海情勢を念頭に「最近の海洋における危険で攻撃的な行動に深刻な懸念」を表明。米国の沿岸警備隊の船に日豪印の海上保安当局の要員が同乗するなど海洋安全保障分野での連携強化を確認した。
会議は岸田文雄首相、バイデン米大統領、アルバニージー豪首相、モディ印首相が出席し、約2時間行われた。岸田首相は会議の冒頭「4カ国が自由で開かれたインド太平洋への強固なコミットメントを国際社会に示し続けていくことが重要だ」と述べた。
共同声明は「力または威圧により現状変更を試みる一方的なあらゆる行動に強く反対する」と明記。中国を念頭に「海洋秩序に対する挑戦に対応する」とし、航行の自由や国際法などの重要性を強調した。北朝鮮の弾道ミサイル発射も非難した。
ロシアによるウクライナ侵攻については「最も深い懸念」を表明し、「ウクライナにおける戦争が世界の食料、エネルギー安全保障、特に発展・開発途上国に与える悪影響に留意する」とした。
このほか、がん対策などでの協力も盛り込んだ。
2023年5月に広島で開催された前回会議と同じく、ロシアや中国を名指しして非難する文言は盛り込まなかった。ロシアと友好関係を保つインドに日米豪が配慮したとみられる。【ウィルミントン影山哲也】
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