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 「子育てがしやすい国」として知られる、フィンランド。子どもを迎える家族に国から贈られる育児用品などが詰まった「育児パッケージ」や、保健師や助産師が出産前から出産後まで切れ目のない支援を行う「ネウボラ」など、日本の一部自治体で取り入れられている制度も少なくない。

【映像】各国の出生率の推移

 しかし、近年出生率の低下が続いている。北欧各国の出生率は、2010年ごろまで高い水準を維持していたが、近年は各国で低下傾向に。特にフィンランドは1.26と、日本に近い水準にまで低下している。

 主な原因について、東洋大学の藪長千乃(やぶなが ちの)教授は「2008年の金融危機に一つは原因があり、経済状況が出生率に影響を与えている部分は否めないだろうと言われている」と説明。

 別の要因として考えられているのが「価値観の変化」だといい、「研究の中で、子どもを持つことに対する“新しい文化”が生まれているのではないかと指摘されている。子どもを持つことを絶対ではないのか、子どもを持たないことを肯定する文化が生まれている」と述べた。

 必ずしも自分が産んだ子どもでなくてもいいという考え方も広まっており、国際養子縁組で子どもを迎えるカップルもよく見られるという。

 出生率低下の改善策はあるのか。藪長教授は「出生率を上げるために何かを変えていくことは、個人の生き方やライフスタイルに政府が介入することになってしまうので、それはできるだけ避ける。個人の意思選択、これが最大限に尊重される社会ではないか」と答えた。

 一方で、自ら子どもを持ちたい人を支援するため、育休制度の改正などが進められている。個人の選択を最大限に尊重しながら出生率の低下に対応する難しいかじ取りを迫られているフィンランド。

 藪長教授は「出生率を無理に上げることが適切ではないのであれば、人材を他に確保しようと高齢者、特に前期の高齢者たちの能力や労働力として活用する。アクティブエイジング(活動的な高齢化)や、移民を受け入れる方向に転換している」と話す。

 こうしたフィンランドの現状や取り組みから、日本はどんなことが学べるのか。「日本はできることがたくさんある。おそらく一番重要なのは労働文化じゃないか。無理なく定時に帰れるような社会が育成できれば変わっていくと思う」との見方を示した。

 日本でもフィンランドでも「将来への不安」が子どもを持つことを諦める一因になっていることに、藪長教授は「若者自身がこれから順調に生活を維持していける、そして家族を養うことが可能だと女性も男性も思えるように、そういった将来展望を持てる社会にしていくことが、とても重要なのではないかと思う」と述べた。

(『ABEMA Morning』より)

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