トランプ前米大統領(77)が不倫の口止め料を不正に会計処理したとされる事件の公判は22日、東部ニューヨーク州マンハッタン地区の裁判所で実質審理が始まった。冒頭陳述で検察側は「トランプ被告は(初当選した)2016年大統領選を腐敗させる犯罪を企てた。それを隠蔽(いんぺい)するために業務記録を偽った」と指摘した。トランプ氏側は「無実だ。何も罪を犯していない」と主張した。
起訴状などによると、トランプ氏は16年秋に顧問弁護士を通じ、元女優に13万ドル(約2012万円)の口止め料を支払った。約45分間の冒頭陳述で検察側は、トランプ氏が16年大統領選を前にスキャンダルが表沙汰になるのを防ぐため、口止め料を弁護士費用と偽って業務記録に記載したと強調。不利な情報を握り潰す「キャッチ・アンド・キル」と呼ばれる隠蔽工作の一つで、「純粋かつ単純な選挙の不正だ」と述べた。
トランプ氏側も約35分間の冒頭陳述に臨んだ。弁護人は「検察側はまるでトランプ氏が犯罪を犯しているかのように位置付けている」と反論。ただ、元女優と口止め料の支払いを口外しないとの秘密保持契約を結んでいたことは認めた。弁護人は契約が「完全に合法だ」と述べた。
この日はトランプ氏の長年の支援者で、タブロイド紙の親会社の会長だったデビッド・ペッカー氏が検察側の最初の証人として出廷した。ペッカー氏は、元女優が話を公表しようとしているとの情報を得て、部下を通じて顧問弁護士に連絡したとされる。ペッカー氏への本格的な証人尋問は23日に行われる。
トランプ氏は閉廷後、連日の出廷で11月の大統領選に向けた選挙運動が制限されていると報道陣に改めて不満を表明。「あまりに不公平だ。選挙運動は許可されるべきだ」と語気を強めた。【ニューヨーク中村聡也】
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