イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの戦闘が昨年10月に始まってから、4月23日で200日となる。イスラエルのネタニヤフ政権が目標に掲げた組織の壊滅と人質の全員救出は達成できず、戦闘が収束する気配はみえない。
ラファで地上作戦を行うと表明
イスラエルのニュースサイトは21日、ネタニヤフ首相が交流サイト(SNS)に投稿したビデオ動画で、「ハマスは人質の解放を求めるすべての提案を拒絶している」とし、「数日以内に軍事的圧力を強化する」と述べたと伝えた。
ネタニヤフ氏は4月上旬、避難民ら100万人超が密集するガザ最南部ラファで地上作戦を行う日が決まったと表明し、国際社会は人道危機が深刻化するとして自制を求めている。
AP通信は21日、イスラエル軍がラファを攻撃して子供18人を含む22人が死亡したと伝えた。軍は20日もラファのほか中部ヌセイラト、北部ジャバリヤの難民キャンプなどガザ各地を爆撃したと報じられた。
「自分のため戦争続けている」批判も
イスラエル英字紙エルサレム・ポスト(19日電子版)によると、最新の世論調査で中道右派野党の代表、ガンツ前国防相の支持率は42%、右派政党党首のネタニヤフ氏は37%。ハマスの奇襲以降、ネタニヤフ氏は国土防衛に失敗したとして強い批判を浴びている。
政権が崩壊して国会選挙が行われれば首相の座を追われる可能性があるため、「ネタニヤフ氏は自分のために戦争を続けていると大多数の人が考えている」。ニュースサイト「タイムズ・オブ・イスラエル」のタル・シュネイデル記者は3月下旬の産経新聞の取材でこのように指摘した。
「ヒズボラ」との交戦も日常化
米国やカタール、エジプトが仲介するハマスとイスラエルの停戦交渉は難航している。戦闘終結とガザからの軍撤収を求めるハマスに対し、イスラエルは恒久的な停戦を拒否しており、対立が続いているもようだ。
イスラエル軍はパレスチナ自治区ヨルダン川西岸でも、反イスラエル民兵組織の掃討作戦を進めている。隣国レバノンの親イラン民兵組織「ヒズボラ」との交戦も日常化しており、緊張はさらに高まる恐れがある。
ハマスはイスラエル奇襲で住民を無差別に殺傷し、250人超を人質としてガザに連行。解放されたのは120人余りにとどまる。イスラエル軍はガザでハマスの地下トンネルを破壊するなどしたが、ガザのシンワール指導者ら主要幹部は未発見のままだ。(カイロ 佐藤貴生)
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