イランでは2010年以降、核開発に関わる科学者が次々と暗殺され、犠牲者は「核の殉教者」と呼ばれる。4年前には著名な核科学者が暗殺される事件も起きている。当時の記事を再掲載する。
イランの首都テヘラン郊外で2020年11月27日、乗用車で移動中だった核科学者、モフセン・ファクリザデ氏が何者かに銃撃されて死亡した。同氏は00年代にイランの核兵器製造計画を率いた人物とみられ、ザリフ外相(当時)はイランと敵対するイスラエルが関与した「重大な形跡」があるとツイートした。
現地からの報道によると、現場はテヘランから東へ約70キロの町アブサード。待ち伏せ攻撃をしたのは3~4人で、ファクリザデ氏のほか、攻撃側も数人が死亡したという。ファクリザデ氏はハメネイ師直属の精鋭軍事組織・イラン革命防衛隊に長く所属し、イランが03年に中止したとされる核兵器製造計画を主導したとみられる。ロイター通信によると、同氏はかつて3通のパスポートを保有し、核関連の最新情報を入手するためにアジアを含む世界各地を回っていたという。
報道などによると、同氏は1980年代後半からイランが手掛けた核開発の中心人物で、第二次世界大戦中に米国の核爆弾計画を主導した物理学者になぞらえ、「イランのオッペンハイマー」とも呼ばれた。国連安全保障理事会の制裁対象者でもあり、国際原子力機関(IAEA)はイラン政府を通じ何度も面会を要請したが、拒否され続けた。【カイロ真野森作、エルサレム高橋宗男】
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