フィリピン、米国の両政府は30日、マニラで外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開いた。南シナ海で威圧的な行動を繰り返す中国を念頭に、米国がフィリピンの軍事力強化のため5億ドル(約770億円)を援助することを明らかにした。両政府は軍事上の機密情報を共有する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の年内締結を目指している。
協議を前に、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官はマルコス大統領を表敬訪問した。マルコス氏は両国の連携の緊密ぶりを強調し、「西フィリピン海(南シナ海)やインド太平洋地域の状況に機敏に対応できている」と歓迎した。米比の2プラス2の開催は昨年4月以来で、マニラでの開催は初めて。比側はマナロ外相とテオドロ国防相が出席した。
協議後の記者会見で、ブリンケン氏は軍事援助について「同盟国との安全保障協力を強化するため」と説明した。南シナ海での中比対立が激しさを増していることにも触れ、フィリピン公船などが攻撃された場合、防衛義務を定めた米比相互防衛条約を適用する用意があると改めて表明した。
中比両政府は今月、アユンギン礁(英語名セカンドトーマス礁)付近での衝突による緊張を緩和するため、比軍の補給活動に関する暫定合意に至った。ただ、内容の認識にはずれがあり、対立の火種はくすぶっている。【バンコク武内彩】
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