“猛烈な熱波”が世界各地を襲っています。
イスラム教の大巡礼『ハッジ』。毎年、200万人前後が、聖地メッカを訪れるこの期間に、ちょうど記録的熱波が重なってしまいました。連日の気温は40℃半ば、最も高かった日は、51.8℃を記録しました。
AFPの集計では、死者が1000人を超えているといいます。大巡礼で死者が出るのは毎年のことですが、1000人というのは異常な数です。
巡礼者:「道中で亡くなった人を見ました。高齢者の方も歩いていて、その方たちも亡くなりました」
巡礼者:「目の前で1人が亡くなりました。多くの方が疲れきって倒れ、気を失いそうになっていました」
広範囲で熱波に見舞われているのがアメリカ。ニューヨークなど一部の都市では、“30年ぶりの熱波”だと警戒されています。
ニューヨーク・アダムス市長:「6月としては、非常に高い気温です。ニューヨークで暑さを甘く見てはいけない。気候変動で、熱波の頻度や激しさが増し、夏も以前とは違ってきている」
ここ2カ月ほど、断続的な熱波に悩まされているインド。“猛暑”を記録した日数が例年の2倍になっている地域もあるそうです。
ヨーロッパでも、今月に入ってからずっと、熱波がどこかの国を襲っています。
この1年、熱波の原因の1つといわれてきたのが『エルニーニョ現象』。今月3日に終息宣言が出されたのですが、その影響が地球全体から消えるまでには、まだ時間を要するといわれています。
そして、これから、世界に降りかかるかもしれないさらなる災厄。その一端がすでに表れている場所があります。
古来から、肥沃な土地として知られる黄河流域。
李志善記者:「このあたりは、干上がっているかと思うのですが、地面というか土が固いです。水分がほとんど含まれていないです」
中国は、北部では深刻な干ばつ被害、南部では洪水による被害が起きています。
干ばつと洪水、ともに、この夏の発生が予想されているラニーニャ現象がもたらす代表的被害です。
李志善記者:「乾燥に強いとされるネギ類ですが、乾いて枯れてしまっています」
農家:「種をまいて、10日経つのに芽が出ない。きのうから一晩中、水をかけて、一睡もしていません、井戸にはもう水はありません。過去にこんなことはあまりない。今年は特別です」
◆気象予報士の眞家泉さんの解説です。
この極端な現象は、日本も無関係ではありません。
世界各国が猛烈な熱波に襲われている状況です。特に、アメリカやサウジアラビア付近は、極めて強い暖気が襲っています。サウジアラビア付近では、偏西風が平年より北を通っていて、暖気がより入りやすい状態になっています。このため、50℃を超える高温になっている状況です。
また、中国大陸で暖められた空気が日本にも流れ込んでいるため、季節外れの暑さになっています。この先も暑い傾向が続きそうです
20日に発表された1カ月予報を見ても、全国的に気温が高い傾向が続く見通しです。
梅雨の晴れ間は、急激に気温が上がり、35℃を超えるようなことも多くなってくる可能性があります。今後も、引き続き、危険な暑さに警戒が必要です。
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