会談するロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=平壌で2024年6月19日、スプートニク通信・ロイター

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記とロシアのプーチン大統領が19日の首脳会談で署名した包括的戦略パートナーシップ条約を巡り、韓国大統領府は20日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、「重大な懸念を示し、糾弾する」とする政府声明を発表した。

 韓国政府高官によると、韓国政府は、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの武器支援を検討するという。これまで、韓国はウクライナに殺傷兵器の提供をしない立場をとってきた。プーチン氏は5日、韓国の方針を「高く評価する」と発言していた。

 20日の韓国政府の声明は、北朝鮮とロシアがそれぞれ朝鮮戦争とウクライナ戦争を起こしたことに言及し、「起きもしない国際社会の先制攻撃を想定して軍事協力を約束することは、国際社会の責任と規範を破った当事者の詭弁(きべん)だ」と非難した。

 さらに、国連安全保障理事会常任理事国として対北朝鮮制裁決議を採択したロシアが、自ら決議違反をして北朝鮮を支援していると指摘。「韓国の安全保障に危害を加えることは、韓露関係にも否定的な影響を及ぼすしかない」とけん制した。

 露朝会談に先立ち、会談で両国が軍事協力の水準を引き上げるとの観測が出ていたことから、韓国政府は露側に「一線を越えるべきでない」と警告していた。韓国の趙兌烈(チョテヨル)外相は16日、韓国メディアのインタビューで会談の結果によっては「必要な対応措置をとる」と述べていた。

 韓国外務省の任洙奭(イムスソク)報道官は20日の記者会見で「国際社会の繰り返しの警告にもかかわらず、(露朝が)条約を締結し、安保理決議に真っ向から違反する軍事協力について公に言及したことは遺憾だ」と表明。「我々の安全保障を脅かすいかなる行為に対しても、厳重かつ断固として対応していく」とした。【ソウル日下部元美】

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