イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区の検問所でイスラエルの治安要員と話すパレスチナ人の女性(左)=2024年4月5日、ロイター

 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は9日、イランが遊牧民の業者を使って、対立するイスラエルに占領されているパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区に武器を密輸していると報じた。米国やイランなど3カ国の政府高官の話としている。ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、イランにはヨルダン川西岸でも緊張を高め、イスラエルを揺さぶる狙いがあるとみられる。

 報道によると、大半はアサルトライフル(突撃銃)や拳銃などの小火器で、イランからイラク、シリア、レバノン、ヨルダン、イスラエルを経由する二つのルートがある。このうちヨルダンからイスラエルへは、遊牧民ベドウィンの密輸業者が担っている。密輸された武器は過激派や犯罪組織などの手に渡っているという。

 密輸の目的について、イランの政府関係者は「できるだけ多くの武器をヨルダン川西岸に送り、イスラエルの不安をあおることだ」と説明。同紙は「イランはヨルダン川西岸を(ガザの)次の火種にしようとしているとの懸念が高まっている」と指摘した。【ワシントン松井聡】

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