15日、ニューヨーク州地裁の法廷に弁護団と共に座るトランプ前米大統領(中央)(ロイター)

【ニューヨーク=平田雄介】トランプ前米大統領が2016年の大統領選前、不倫の口止め料を支払い、その会計記録を不正処理したとして起訴された事件の初公判が15日、東部ニューヨーク州の裁判所で開かれた。11月の大統領選での再選を目指し、無罪を訴えるトランプ氏は法廷前で「政治的迫害だ」「選挙干渉だ」と起訴を批判し、争う姿勢を見せた。

今回の事件は、トランプ氏が抱える4つの刑事裁判のうち最も早く審理が始まった。米大統領経験者が刑事裁判の被告となったのは初めて。

起訴状などによると、トランプ氏は16年10月、不倫スキャンダルの発覚を防ごうと、元ポルノ女優に口止め料13万ドル(約2000万円)の支払いを弁護士に立て替えてもらい、当選後、費用を弁済した際に一族企業の業務記録を改竄(かいざん)したとして34の罪状に問われている。

裁判は1カ月半から2カ月続く見通し。初日の15日は、有罪か無罪かの評決を出す陪審員12人をニューヨーク市民から選ぶ手続きが進められた。

裁判の公平を期すため、陪審員には中立性が求められる。AP通信によると、ある陪審員候補の女性は、裁判官からの「トランプ氏について強い意見を持つか」との質問に対して「イエス」と答え、候補を外れた。

陪審員の選定後、証人尋問や証拠調べに進む予定。トランプ氏は出廷する必要があり、法廷前から支持者へのアピールを続けるとみられる。

また、検察側は15日、トランプ氏が裁判所の箝口(かんこう)令に反して証人に関する情報3件を交流サイト(SNS)に投稿したとして、1件につき1000ドル(約15万円)の罰金を求めた。裁判所は今月23日に審理する予定。

トランプ氏は他に、20年の前回大統領選での敗北を覆すため、連邦議会や南部ジョージア州の公的手続きを妨害したり、大統領退任時に機密文書を持ち出したりしたとして起訴されている。

15日、ニューヨークの州地裁に出廷したトランプ前米大統領(Jeenah Moon撮影、AP=共同)

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