バイデン米大統領が発表したパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの停戦案を巡り、ハマスの報道担当、オサマ・ハムダン氏は4日、レバノンで開いた記者会見で「イスラエルが恒久的な停戦に応じる用意があるという明確な態度を示さなければ、合意できない」と語った。イスラエルの極右閣僚が停戦に反発する中、イスラエル側の状況を注視した上で、交渉に応じる考えを示した。
「占領者(イスラエル)は人質を取り返し、戦闘を再開したがっている」。ハムダン氏は会見でこう語り、「停戦が保証されない協定」には合意できないとの立場を強調した。
バイデン氏の提案は、第1段階で6週間の休戦を設け、ハマスによる一部の人質の解放などを進めつつ、事実上の恒久的な停戦に向けた協議を始めるとの内容だ。協議で合意に至れば、第2段階で「恒久的な敵対関係の解消」を実現してイスラエル軍がガザ地区から撤収し、最終段階の復興フェーズに移る。
これらの内容は5月上旬に仲介国が関与し、ハマスが「受け入れ」を表明した休戦案とほぼ同様だ。だが、このときはイスラエルが「自国の要求が反映されていない」として受け入れを拒否し、ガザ地区最南部ラファで軍事作戦を拡大した。
こうした経緯があるだけに、ハマスにはイスラエルが今回の停戦案を実際に承認するのか、強い不信感があるようだ。ハムダン氏は会見で「イスラエルは(合意の)第1段階だけ望んでいる」とも主張した。イスラエル紙ハーレツによると、ハマスは仲介国を通じて米国に対し、イスラエルが合意を守るよう保証することを求めているという。
こうした中、国際社会では停戦案を受け入れるよう求める声が高まっている。主要7カ国(G7)は3日、米国案を「保証する」との声明を出し、「イスラエルは前進させる用意がある。ハマスが受け入れるよう求める」と呼びかけた。また、国営サウジ通信によると、サウジアラビアや仲介国のエジプトとカタールなどのアラブ5カ国の外相は3日、オンラインで協議を行い、米国案を支持することを確認。交渉に「真剣かつ前向きに取り組む」必要があると強調した。【カイロ金子淳】
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