キャメロン英外相(ロイター)

【ロンドン=黒瀬悦成】訪米中のキャメロン英外相は8日、11月の米大統領選で共和党候補指名を確実にしたトランプ前大統領と南部フロリダ州にあるトランプ氏の私邸で会談した。英外務省が発表した。

2010~16年に首相を務めたキャメロン氏は19年に発表した回顧録で、16年大統領選に出馬していたトランプ氏を「外国人嫌い」「女性蔑視的」と評するなど同氏への嫌悪を鮮明にしていた。

そんなキャメロン氏があえてトランプ氏への接触に踏み切ったのは、バイデン米政権によるウクライナ支援に向けた600億ドル(約9兆1000億円)規模の追加予算案の議会通過を下院で多数を占める共和党が阻止している問題で、共和党に影響力を行使しているトランプ氏にウクライナ支援の重要性を説得するためだ。

また、大統領選で現職のバイデン大統領とトランプ氏のどちらが勝ったとしても米国との関係の維持を図りたい思惑もある。

ただキャメロン氏は、トランプ氏に橋渡しを求めていたとされる共和党のジョンソン下院議長との面会を実現できずに終わるなど、トランプ氏の説得は失敗したとみられている。

キャメロン氏は9日にワシントンで行われたブリンケン米国務長官との会談後の共同記者会見で、米欧が緊密に連携すれば「欧州に加えて米国もより安全になる」と強調。追加予算案に関しても、米国は比較的軽い財政負担でウクライナを侵略したロシアを屈服に追い込める「費用対効果の高い」措置だと強調した。

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