ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、ロシアと国境を接する東部ハリコフ州を訪問し、新たに構築中の防衛線を視察した。ハリコフ州は露軍が今後、大規模攻勢に出る可能性が指摘されている方面の一つ。ゼレンスキー氏は「ハリコフ州は重要方面だ。ロシアはわれわれに防衛の準備があると知るべきだ」と述べ、仮に露軍が攻勢に出ても撃退する意思を表明した。
随行した同州のシネグボフ知事は、防衛線が塹壕や対戦車用ブロックなどで構築されているとゼレンスキー氏に報告した。
ハリコフ州は2022年9月にウクライナ軍が大部分を奪還。ただ、露軍は23年秋ごろから攻勢を強め、現在は要衝のクピャンスク方面などで激戦が続いている。露軍は最近、同州への空爆を激化させており、攻勢に向けた下準備の可能性が指摘されている。
前線の戦況を巡り、東部ドネツク州の露占領当局幹部は9日、州都ドネツク市近郊の集落ペルボマイスコエを露軍が制圧したと主張した。露メディアが伝えた。ウクライナの軍事メディア「ディープステート」も同日、同集落が露軍に制圧されたと報告した。
一方、ロイター通信によると、国連人権高等弁務官事務所は9日、露軍の攻撃による3月のウクライナの民間人の死傷者数が、2月より20%多い計604人に達したと発表した。露軍が3月以降、電力インフラなどを標的とした攻撃を激化させていることが要因だとみられる。
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