記者会見を開いたADORのミン・ヒジン代表=ソウルで2024年5月31日午後2時32分、日下部元美撮影

 人気音楽グループ「BTS」が所属する大手芸能事務所「HYBE」の内紛を巡り、独立を画策したとしてHYBEに業務上背任容疑で告発されていた子会社「ADOR」の代表で有名プロデューサーのミン・ヒジン氏は、31日に開かれたADORの臨時株主総会で代表解任をひとまず回避した。記者会見では「応援してくれる人に100万ウォン(約11万円)ずつあげたい気持ちになった」などと涙ながらに感謝した。

 HYBE側はADORの株の8割を有し、ミン氏に辞任を求めている。HYBEは臨時株主総会で解任案議決権を行使しようとしたが、株主総会に先立ちミン氏は裁判所に解任議決差し止めを求める仮処分を申請。30日にソウル中央地裁は「解任理由が十分に明らかになっていない」などとして申請を受け入れた。

 ミン氏は4月に開いた記者会見で、HYBE経営陣に対し「タイマンで来い」「クソオヤジ」などと批判。会見後、ミン氏に対する同情論が広がり、特に若い世代からの共感は社会現象にもなった。ミン氏が会見で着ていた緑と白のストライプの上衣とLAドジャースのキャップは「ミンヒジン・ルック」と呼ばれ、オンラインショップなどで売り切れた。

 代表留任となったことをうけ、31日に約1カ月ぶりに会見を開いたミン氏は改めて疑惑は事実無根だと主張。「誰のための、何を得るための争いなのかわからない」と指摘し、「HYBEと妥協点があれば良い」と和解を模索する姿勢を見せた。韓国メディアによると、今回着ていた服は日本ブランドだという。

 ADORには昨年末のNHK紅白歌合戦にも出場した人気女性グループ「NewJeans」が所属している。【ソウル日下部元美】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。