来日中のアブダラ・アル・ダルダリ国連開発計画(UNDP)総裁補は29日、東京都内のイベントで講演し、「パレスチナ自治区ガザ地区の復興は中東、そして世界の安定に欠かせない」と述べた。ガザ地区で停戦が実現した時に備え、早期に復興計画を作る必要性があると訴えた。
ダルダリ氏は、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くガザ地区では住宅やインフラが壊滅的に破壊され、人々の心理的ダメージも深刻だと指摘。いつ実現するかは不明だが、停戦が始まった当日から、自宅を失った50万人以上の市民に住居を提供し、約38万トンに達するがれきの処理や不発弾への対応を始めるべきだと述べた。
ガザ地区では2014年の戦闘で発生したがれきの処理も終わっておらず、再建には数十年かかる可能性があるという。
イベントにはアラブ諸国の大使らも出席。エジプトのモハメド・アブバクル駐日大使は、イスラエル軍の攻撃を止めるために圧力を与える必要があると主張。スペインなど欧州3カ国がパレスチナを国家承認したことに言及し、「(未承認の)日本も加わってほしい」と述べた。
ヨルダンのリーナ・アンナーブ駐日大使は、イスラエルが長年、国際法に違反してパレスチナを軍事占領していることを指摘し、「国際法を守らせる」ことが重要だと指摘した。
また、ガザの「戦後統治」について、東京大中東地域研究センターの鈴木啓之特任准教授は、イスラエルが主導するのではなく「国際社会が枠組みを作る必要がある」と主張した。【三木幸治】
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